投稿日:2017年9月16日(土)
大型台風が接近中。当社でも朝から出来るだけの台風対策をとっております・・・権禰宜の遠藤です。
さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』平成29年6月26日号コラム「神宮だより」をご紹介致します。
「【神宮だより ~外宮末社「赤崎神社」~】
伊勢市のお隣、鳥羽市には豊受大神宮(外宮)末社である赤崎神社が鎮座する。鳥羽は古来神宮に御贄(みにへ)を納める地域の一つとして神宮とは深い関はりがあり、現在も神宮の御料鰒調製所があるが、神宮の宮社百二十五社の内、同市にあるのはこの一社だけである。御祭神は荒前姫神(あらさきひめのみこと)で、豊受大神宮に奉る御贄採集の守り神と伝はる。伊勢国と志摩国の国境であった鳥羽湾に流れ込む加茂川河口の小高い丘にある森が境内で、豊かな海を見守るに相応しい立地条件である。
神宮の末社として神嘗祭をはじめとする五大祭には神職が神社に出向き祭典を奉仕してゐるが、取り分け六月二十二日の六月月次祭は赤崎神社の礼典も合はせて地元の崇敬者が集ひ例祭として盛大な行事が執りおこなはれる。
この礼典は「赤崎祭り」と呼ばれる。地元では「赤崎さん」とか「ゆかたまつり」と親しまれ、江戸時代の頃から始まったと思はれる。夏を告げる祭りとしても定着してをり、この日から浴衣に袖を通す習はしがあるといふ。当日、付近の200mほどの小路には屋台が立ち並び、地元だけではなく近隣からも参拝者が大勢訪れ、その人混みは懐かしい夏祭りのイメージそのものである。とくに夜になると参道に掲げられた提灯に灯が点されて浴衣を着た参拝者が数多く見られ、普段の静かな境内がひじょうに晴れやかで賑やかになる。
また、いつ頃始まったか定かではないが、境内の杉の小枝を家に持ち帰り、門や玄関口に吊して災ひ除けとする風習があり、今でも参道の入り口で「御神杉」と呼ばれる杉の葉が授与されてゐる。
神宮の末社でありながら鳥羽の人々から氏神様のやうに親しまれ、地元に根差した昔と変はらぬ信仰が今に伝はる神社である。」