ホーム » ブログ » 【神社新報コラム】杜に想ふ~非一般の神社関係者~

【神社新報コラム】杜に想ふ~非一般の神社関係者~

投稿日:2021年7月2日(金)


梅雨らしい雨が続きますね。晴れた日にやりたいことがどんどんたまっていきます…権禰宜の遠藤です。

本日は、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』令和3年6月21日号掲載のコラム『杜に想ふ』より「非一般の神社関係者」を御紹介致します。

神社新報ロゴ

杜に想ふR30621

【杜に想ふ】~非一般の神社関係者~

「異国の神の加護があるとかで、六月は婚礼の季節と云はれる。もっとも、実際の挙式は秋の方が多いらしい。近年はまた祝言宜しく人前式も人気なやうだが、遡れば平安時代、貴公子は姫の家に通って三日の夜に三日夜(みかよ)の餅を食べ、露顕(ところあらはし)の宴が催されて成婚を披露してゐた。神前元服も後代の様式であるやうに、古代社会一般の婚儀は神に対して誓ひを立てる類でなく、専ら当該人の属する社会の中で必要とされたものだった。

存外それは今も同じかもしれない。庶民の場合は親族や友人知人、職場の同僚に告げるくらゐだが、国民的に知られる人ともなれば結婚するにもマスメディアを介して世に披露せねばならない。すると世間は〇〇ロスだと騒いだり、彼らの縁者でも知り合ひでもないのに祝福したり貶したりと忙しくなる。現実はなかなかどうして、婚姻は両性の合意のみに基づくとはめかないものだ。

著名人の結婚相手はしばしば「一般男性/女性」と報道される。便利だが改めて考へると不思議な言ひ回しだ。お相手が「非一般」のことがあるのだらうか。芸能人は歌舞音曲その他に秀でた才能で大衆を沸かすにせよ、特殊な身分ではない。その意味で紛う方なく”非一般男性”と結ばれたと云ひ得る俳優はグレース・ケリーだらう。

芸能人以外を「一般」と表すのは、芸能界の視点に立つからだ。ある属性を持った特定集団の立場から見て、その枠外にある大多数の人が「一般」なので、視点が変はればその対象も変はる。神社界も、神社関係者以外をよく「一般」と呼んでゐるが、もちろん斯界が特権階級なわけではない。

さう云へば斯界が好むこの「神社関係者」といふ表現も、よくよく思案すると妙な響きに感じるのは気にし過ぎか。神職氏子崇敬者云々では煩瑣だからであらうが、では「神社関係者」とは誰なのか。

「関係者」も”関係する者”以上の情報を明確にはせず、場に応じて対象を変へ、故にそのままでは英語などにも翻訳しづらい表現である。具体的ではないから、芸能関係者や医療関係者などと云ふときは概ね他称的か、敢へて曖昧にしたいときだ。一方で、斯界は「全国神社関係者大会」などと自称的。理念としては神社に関与する者の立場に際限など無いのだから他に表しようもないのはわかるが、これほどにも曖昧な表現が大手を振って使はれてゐると、世間が思ふニュアンスとの微妙な食ひ違ひに可笑しみも覚える。

「斯界」も、”この業界”くらゐの主観的な意味が本来だが、日常語では耳慣れない故か神社界隈では”神社界”を指すときの用語と化しつつある。さまざまな国民的問題にも公を自負して取り組む神社界は主客の境も曖昧なのかと、これはあまり一般的ではない神社関係者としての単なる小感。平素本欄に載るオピニオンとは似て非なるものだ。」


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
ぜひ早起きした朝やお休みの日にでも、お気軽に当社にお越しください。皆様のご参拝を心よりお待ちしております。