投稿日：2018年8月26日（日）
8月最後の日曜日。今日で終わりという海水浴場も多いと聞きます。夏休みの宿題は7月中に終わらせる派でした…権禰宜の遠藤です。
さて、神社本庁より発行されております『むすひ』平成31年号が発行されました。今回はこの冊子より、声優・歌手として活躍している水樹奈々さんのトークエッセイが掲載されていますので、ご紹介致します。
『むすひ』神社本庁・神宮司庁編集、神社新報社発行の小冊子で年一回、各神社のご社頭にて頒布するべく発行されています。
当社でも、例年ご祈祷を受けられた方の記念品などに同封しております。
「【トークエッセイ】～神様の見守りを感じて 水樹奈々さん～」
私は、ライヴの前には必ず京都に行って神社などを廻ることにしています。ライヴのステージは聖域だと思っているので、上がる前に「自分の身を清めなくては」と考えています。
歌は嘘がつけないものなので、気持ちの「ぶれ」や「揺れ」が素直に出てしまいます。そういったものが出ないように、一度自分をリセットして、フラットな気持ちでまっすぐな歌を届けられるよう、精神統一をしに向かうイメージです。本番へ向けてスイッチが入りますし、自分の中でのルーティンになっています。
他にも大事な舞台の前や大きな節目の時などは、必ず神社に参拝しています。地元は愛媛県の新居浜市なんですが、東京に行けるかどうかという将来の命運がかかった歌の大会の前にもお参りに行きましたし、上京に際しても「故郷に錦を飾れるように、がんばります！」と誓いを立てに行きました。NHK紅白歌合戦の初出場が決まった時も、NHKホールのそばにある明治神宮で「がんばってきます！」とお参りしましたね。
節目には必ず自然に神さまに手を合わせる——これは神棚に向かって毎朝お参りするおばあちゃんの姿を見ていた影響が大きいと思います。神棚にまつってあったお神札もよく覚えていて、伊勢神宮のお神札を見ると、「小さい頃から毎日触れていた！」と当時を思い出します。
伊勢神宮に初めて参拝した時は、とても印象的でした。神社の巫女を演じる機会があり、エンディングテーマも歌唱、作詞をすることにもなったので、その創作活動、そしてアフレコが始まる前にお参りに行ったんです。
外宮の参拝が終わって、内宮へ行こうかという時でした。なんと円形の虹が出ていたんです！前日は雨でしたが、その日は、とてもいいお天気だったのでビックリ！あんな珍しい虹を見たのは、後にも先にもあの一回だけでした。お伊勢さんに「よく来たね」って迎え入れてもらえたのかもしれないと思い、すごく感動したのを覚えています。
また、出雲大社に初めて参拝したのも、アニメ主題歌の作詞をするタイミングでした。須佐之男命にまつわる「天羽々斬」という剣を持ったキャラクターを演じることにもなっていたので、御挨拶に行った方がいいと思ったんです。
そして生まれたのが「Synchrogazer」という曲。その六年後に出雲大社でライヴをさせていただくことになり、「御奉納」という形で披露することができ感激でした。歌っている時は神さまが喜んで下さって、温かい気持ちで見守って下さっているように感じました。まさかそんな御縁が後に巡ってくるとは考えもしていなかったのですが、きっと、神さまが結んで下さったんだと思います。
「神頼み」という言葉がありますが、参拝する時に「優勝できますように」とか「合格しますように」ばかりではいけないと思っているんです。やはり自分がどれだけがんばってきたかで、目標に到達できるか否かが決まると思うので、神さまには「見守っていて下さい」とか「本来の自分の力を発揮できますように」と、お願いするようにしています。
歌う時と同じように、神さまの前では嘘がつけないので、神前で手を合わせると「あ、まだ自分にはここが足りてないな」と気づかせてもらえることがあります。あとは、「その目標を言っても笑われないだろうか」とか（笑）。私にとっての神社は、改めて自分と向き合ったり見直したりできる、そして「大丈夫だよ」と背中を押してもらえる——そんな場所になっていると思います。
【水樹奈々＿みずき・なな】
昭和55年、愛媛県生まれ。声優・歌手。 出演作品は、「NARUTO-ナルト-」(日向ヒナタ役)、「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズ(風鳴翼役)、「ハートキャッチプリキュア!」(花咲つぼみ/キュアブロッサム役)など、ナレーションでNTV「満天☆青空レストラン」など多数。歌手としても精力的に活動しており、これまでに「NEOGENE CREATION」など15枚のアルバムを発表している。NHK紅白歌合戦に平成21年から6年連続で出場を果たした。伊予観光大使、新居浜ふるさと観光大使なども務める。
