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【神社新報コラム】こもれび~くすの木千年

投稿日:2022年8月11日(木)


今日は山の日。平成28年に新設された新しい祝日です。白旗神社の神職は、毎日本殿が鎮座する「亀形山」(かめがたやま)に登拝しています(と言っても階段にして二十数段程度ですが)祝祭日は国旗を掲げてお祝いしましょう!…権禰宜の遠藤です。

国旗

さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』令和4年4月18日号掲載のコラム「こもれび~くすの木千年」をご紹介致します。

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【こもれび~くすの木千年~】

「四月から五月にかけての太宰府天満宮の境内が、最も好きだ。日本を超える大小の樟(くす)の木々が、一斉に湧き出るやうな鮮やかな若葉をつける。その素晴らしさに毎年心洗はれ、そっと背中を押してもらへるやうな心持ちになる。

樟は日本でもとくに九州に広く分布し、樟から精製され、防虫剤や医薬品として用ゐられてきた樟脳や、特徴的な芳香でも知られてゐる。もともと当宮一帯は樟の原生林だったとされ、樹齢千五百年以上

と推定される幹回り十七メートル、高さ四十メートル以上に及ぶ樟もあり、当宮成立以前からの歴史的変遷を黙して見届けてきた。

くすの木千年 さらに今年の若葉なり

この句は、俳人である荻原井泉水(明治17年~昭和51年)が82歳の時に太宰府で詠んだものであり、井泉水自らの書によって刻まれた句碑が、御本殿裏の樟に見守られるやうに立ってゐる。千年以上の齢を重ねてきた樟のごつごつとした肌と曲がりくねった姿態は、そこから芽吹く若葉を目に痛い程瑞々しく感じさせ、その様子に井泉水は圧倒されたのではないだらうか。樟はすべての葉を失ってし

まふことはなく、必ず新しい葉へと生え変はり、古葉は次の命の誕生を見届けた後、自ら雨のやうに大地に落ちて行く。

悠然と佇む大樟も、昔よりまったく「変はらず」に、そこに存在してゐるのではない。井泉水の句は、さういったととを語りかけてくるやうに感じる。

「変はらない」とはただ存在するのではなく、それを託す存在があって初めて成立する。そして、託された側も少しでも良い形で引き継ぐために「変はり」、さらに次代へと託していくことを繰り返すことで、結果的に「変はらなく」見えるのである。毎年の若葉が命を繋ぎ、命を燃やしてきたことで、振り返ると「千年」となるのだ。

鎮守の杜に抱かれながら、神域を浄め、「目に見えないもの」に想ひを馳せ、御祭神に祈りを捧げる。日々の真摯な行動の積み重ねが、いつの時代も神社が人々の心の拠り所となってきた礎であることは変はらない。

その上で、現代において神社が果たすべき役割は何かと常に自らに問ひながら行動しなければならない。急速に変容する世界に山積する深刻な課題を鑑み、神様との仲執り持ちとしての我々にできること、神社に期待されてゐることを見紛はずにより良い形で変はりゆきたい。

百年後も千年後も神社が変はらないために。」

神道青年全国協議会監事、福岡・太宰府天満宮宮司


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
ぜひ早起きした朝やお休みの日にでも、お気軽に当社にお越しください。皆様のご参拝を心よりお待ちしております。