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【神社新報記事 原子力災害と伝統芸能の継承】

投稿日:2016年10月10日(月)


一気に秋の空気。権禰宜の遠藤です。

さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』平成28年9月12日号に、興味深い記事が掲載されていましたのでご紹介致します。
神社新報2016.9.12

「【こもれび 原子力災害と伝統芸能の継承】

東日本大震災では多くの尊い生命と財産が奪はれましたが、それと同じくして人々の暮らしと結びついてきた伝統芸能や祭りも大きな被害に遭って失はれつつあります。

福島県沿岸部では、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で、震災から五年半が経過した今でも神事や伝統芸能が中断を余儀なくされ、存続の危機に瀕してゐます。

民俗芸能学会福島調査団の調べによれば、福島県では八百カ所以上に民俗芸能が伝承されてゐますが、少なくとも六十団体以上で津波による大きな被害があり、さらに二百団体以上が原子力災害に伴ふ放射能汚染により継承不可能の危機にあるといふ調査結果が出てゐます。

過疎化や少子高齢化が進むなかで、全国的に伝統芸能の存続が危ぶまれてはゐますが、福島においては原子力災害による影響がそれに追ひ打ちをかけてをります。

原子力災害区域の住民たちが県内外へ避難してゐる状況は未だに続いてをり、さらに避難指示などで故郷への立ち入りが制限され、復活を目指さうにも御神前での奉納が難しい状況にあります。

かうした状況から、福島県内の伝統芸能を次世代に引き継ぐためのイベントが各所で開催され、演じられる機会を得てゐますが、これも一時的なものです。住民が避難でバラバラになるなか、十年、二十年と続けるのは困難で、神楽などの伝統芸能は披露する場を失はれれば、その存続が大いに危ぶまれる可能性があります。

現在、福島県神社庁が中心となり、「コミュニティ及び地域伝統文化継承を希求する福島県民の会」を組織し、未だ避難指示区域になってゐる双葉町、浪江町にまたがる地域に福島県が建設を予定してゐる「平和記念公園」内に、「子どものお祭り広場」を設置することを関係機関に働きかけてをります。

この計画が実現されれば伝統芸能継承の観点からもさまざまな活用が可能であり、先に述べた問題の解決策になるのではないかと期待してをります。

地域の祭りや芸能をおこなふといふことは、日頃疎遠な人々が集まり、語り合って何かしらの行動を共にすることになります。放射能汚染の影響で今も避難を続けてゐる住民にとって、地域の伝統文化や芸能の継承、保存は壊れかけたコミュニティの再興や地域共同体の再生に繋がるものと確信してをります。

震災から五年半が経過したなかで復活した伝統芸能には、人々をより強く結びつけ、励ます力を持ってゐることを間近で見てきました。復興への先行きがが見えない現状ではありますが、先人たちが受け継いできた伝統文化、神事芸能を守り伝へていくことは我々に与へられた使命であると考へてゐます。

これからも神社の再興、故郷の復興へ向け、全力で取り組んでまゐります。(田村 貴正 福島・初發神社(しょはつじんじゃ)禰宜)」

我々神職は雅楽をはじめ、伝統芸能とはなにがしかの関わりを持って日々の奉仕に勤しんでおります。とても他人事とは考えられません。


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
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