投稿日:2021年1月10日(日)
【神道百言98】
『本(もと)出し高天原の本津国(もとつくに) かへるみ魂は二つなきなり』~中西直方・死道百首~
(人間及び万物は神道信仰によれば、高天原(神の世界)なる産霊(むすび)の神(すべてのものを生み育てる神)の力によつて生成化育されたものだと伝へてゐる。それ故、高天原なる本津国から生れて来たものは、死ねば必ずその本津国に帰る以外に道はない。
仏教では極楽浄土(十万億土)に帰るのだと教へてゐる。若しも、帰る魂が二つあるなら、高天原の本津国に一つ、他の魂の一つは十万億土にも帰ることが出来よう。然し残念なことに、帰る魂は一つだけしかないのであるから、神道信仰に生きるものとしては、神道の教へに従つて、魂の本津国である高天原なる産霊の神の御許(実際には祖先の神のみもと)に帰る以外にないと知るべきである。
右死道百首の和歌の一つに
日の本に生れ出でにし益人は 神より出でて神に入るなり
とあるのと、右の歌は同じだといへる。)
誰にも必ず訪れるのに、語るとなるとはばかられる「死」
コロナで在宅時間が多くなる今、家族で話しておくのも良いと思っております。宮司です。
さて去る1月8日 午後2時より白旗神社と兼務して宮司を務める藤沢市石川鎮座 佐波神社におきまして、樹木を伐採されるということで清祓い(きよはらい)を行いました。
木を育てるのは容易なことではありません。何十年あるいは何百年とかけて命をつなぎ、綺麗な空気を作り出してくれている大木を伐ることは大変残念ではありますが、同社は道路と共同住宅に接しており、一昨年の台風では大きな被害があったことから境内整備として樹木の伐採が進められており、今回は本殿東側の大木3本の伐採と、大木の剪定作業が行われることになりました。
お祓いには宮元(代表)と総代2名、作業をされる地元の植木屋さん 安藤植木さんが参列されました。
木には『木霊』(こだま)が宿るとされており、聞いた話では、昔のような斧で徐々に伐り倒す場合は木も徐々に覚悟を決められるようですが、今のようにチェーンソーで瞬時に伐り倒す場合は、木霊の行き場が無くなり悪い神になってしまうという説もあるそうです。
お祓いでは事情を報告し感謝の誠を捧げた後、切麻(きりぬさ。お祓いの道具)を使ってお祓いし、ご参列の皆さんに米・酒・塩などをお供えして木霊をお慰めいただきました。
近年問題視される地球の温暖化や気候変動による様々な現象の問題の多くは森林破壊によるところが大きいと聞きます。
今の生活環境を優先するのか、孫の世代の環境を優先するのかを天秤に掛け、最良の選択をしたいものです。
いずれに致しましても、工事が無事に執り進められますよう祈念申し上げます。