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【神社新報コラム】杜に想ふ~拍手の響き~

投稿日:2022年3月16日(水)


数えで43歳になる私に、四十肩?が来たようです。肩甲骨を動かす体操を何度かしたら直ぐに治りましたが…権禰宜の遠藤です。

さて、神社界唯一の業界紙であります、『神社新報』令和4年1月17日号掲載のコラム「杜に想ふ~拍手の響き~」をご紹介致します。

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杜に想ふ

【杜に想ふ~拍手の響き~】

「寒中お見舞ひ申し上げます。年頭から御神前に鳴り響く拍手の音を聴いてゐると、改めてその意味やその効果について、深くありがたさを感じる。
拍手を打つ行為は、日本古来の伝統拝礼作法。古くは、魏志倭人伝に「見大人所敬 但搏手以当跪拝」との記載があり、手を打つ行為は神様だけでなく人に対してもおこなはれてゐたことが窺へる。手を打つ行為は一種の魂振なのかもしれない。そして祝福の表現。
人が喜びや称讚、また敬意や賛成の意志を表現する際に手を叩くといふ行動は万国共通だと聞いたことがある。お腹が痛くなるほど笑ってゐる時に思はず手を叩いてしまふ……なんてことが皆様にもあるのではないだらうか。そんな反射的な行動を一つの儀礼にまで高めたのは、日本独自のものだといふ。
何か閃いた時、うまく纏まった時、納められた時にも日本人は手を打つことが多い。一本締めや三本締め、地方によって手の叩き方はさまざまである。
「幸せなら手をたたこう」といふ曲があるが、まさにそんな人間の心理描写をみごとに表した曲だと感じられる。
拍手の響きは心の響きだと先輩神職さんから教はったことがある。幼い頃から父である宮司の拍手の音が大好きだった。その音を聴くたびに心は落ち着き、清々しい響きが脳内に滲透してゆく。お米でもお酒でも、拍手を一つ打つだけで、まるで魔法にかけられたかのやうに、本当に美味しくなるのだ。一つの行動で明らかに何かが宿る。そんな神祕を子供ながらに感じてゐた。
恥づかしながら、私の拍手の音はまだまだ拙く、ぺチっと、軽い音が鳴ってしまふことがしょっちゅうある。雑念なく、すーっと心が静かな時に鳴らす拍手の音はまるで、千鳥が舞ふやうに、柔らかく丸く空気に振動する。それはまるで神様ともいふべき何かの存在や気配が自分と重なって鳴らしたやうな音。一人で鳴らした音ではないやうに感じる。
拍手といへば、一つ思ひ出深いことがある。コロナ禍の影響を受けて、無観客でライブをおこなったときのこと。一番違和感を覚えたことが、拍手の音だった。歌ひ終はっても、拍手の音は聞こえてこない。無観客だから仕方がないと分かってゐても、やはり淋しいものがあった。キャッチボールのやうに、観客から拍手をいただくことによって演者に伝はるものが確かにあるのだと、無観客でライブをした経験が教へてくれた。
先月は久しぶりに有観客のコンサートとなった東京公演と神戸公演を終へたばかり。満員御礼で迎へたコンサート会場に響き渡る拍手喝采には、涙が出るほど感動するものがあった。
年頭に当たり、御皇室の安寧と御社頭の弥栄、読者の皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。拍手を添へて。」


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
ぜひ早起きした朝やお休みの日にでも、お気軽に当社にお越しください。皆様のご参拝を心よりお待ちしております。