ホーム » ブログ » 豆知識 » 【神社新報コラム】杜に想ふ~拝する人~

【神社新報コラム】杜に想ふ~拝する人~

投稿日:2018年7月28日(土)


日本列島に接近している台風の影響で、隅田川花火大会などの催し物の中止・順延が相次いでいます。本日予定されていた藤沢本町駅前の諏訪町のお祭りも8月4日(土)に延期になりました…権禰宜の遠藤です。

さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』平成29年10月30日号掲載のコラム「杜に想ふ」をご紹介致します。

神社新報ロゴ

杜に想ふ

「【杜に想ふ ~拝する人~

私の仕事場(東京都台東区谷中)近くにある天王寺は、毎日の散歩コースになってゐる。

私は、この天王寺のたたずまひが好きであ る。木立に囲まれた芝生の庭があり、その向 うに横に広い本堂。甍(いらか)が高くはなく、八本の柱も仰々しくはない。奈良の十輪院を模し た、といふが、私は正倉院を連想する。よく見れば、コンクリート柱の近代建築。しかし古風が漂ふたたずまひである。

開山時は日蓮宗だったが、江戸幕府の日蓮 宗(不受不施派)への弾圧があり、元禄11 年(1698)に天台宗に改宗した、といふ。

本堂を正面にして左手に大仏像がある。正確には、釈迦如来坐像。元禄3年(1690) の鋳造であるから、日蓮宗時代である。

それはさておき、この大仏の表情がまこと によろしいのである。私には「神々しく」も みえる。私は「南無阿弥陀仏」、とは唱へな い。柏手こそ打たないが、「とほ神えみ給(た)め」 と三種の祓ひ詞を唱へる。それで十分に意が 通じる、と思える鷹揚なお顔なのである。

勤行中でない時は、本堂の縁側に座らせて もらふ。そこから通りの往来が見える。しか し、通りからも門をくぐってからも、拝する 人はほとんどゐない。

いまになは不可解なのは、立派なカメラを構へて盛んに写真撮影をする年配の男性諸氏のふるまひである。撮影はよいとしても、は じめに帽子を脱ぎ一礼してからにしたらいかがか。が、さうする人は十人に一人ゐるかど うかだ。たぶん、諸神社での祭礼のときも同 じだらう。

つい最近のこと。若い西欧系の男性が二人、 門をくぐってきた。キョロキョロしたのち、手水所に向かふ。それぞれに杓を持ち、お互ひに所作を確認するやうに手水をとる。ぎこ ちないが、理にかなった作法である。

そのあと、大仏に拝した。そして、私にも会釈したのち、本堂の前で合掌をしたものだ。とくに日本になじんだ人たちではなからう。ガイドブックであれこれ確認しあってゐた し、スマートフォンで音声ガイドを聞いてもゐた。

さういえば、この界隈では西欧系の観光客をよくみかける。ガイド付きの散策コースもあるらしい。私がみるかぎりでは、彼らはおほむね行儀がよい。そして、右の二人のやう な例も目にしだしたのである。

対して、私たち日本人はどうか。ヨーロッ パの教会などで、帽子を脱ぐやう注意される日本人が増えてゐる。と、最近、旅行関係者から聞いた。

神前や仏前で拝礼することは、歴史や文化に対しての敬意といふもので、地域や民族をこえての作法にほかなるまい。国際的には「お もてなし」が高く評価される日本人。しかし、あらためて、神仏に対しての「もうひとつの国際化」を認識しなくてはならないのではあ るまいか。」


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
ぜひ早起きした朝やお休みの日にでも、お気軽に当社にお越しください。皆様のご参拝を心よりお待ちしております。