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【神社新報コラム】杜に想ふ~新宗教と「日本」~

投稿日:2018年12月21日(金)


今日で終業式の学校も多いようですね。世の中いよいよ年末モードです…権禰宜の遠藤です。

さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』平成30年6月18日号掲載のコラム「杜に想ふ」をご紹介致します。

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杜に想ふ

【杜に想ふ~新宗教と「日本」~】

先日、知人に誘はれてケンブリッヂ市の近くにある世界救世教いづのめ教団の浄霊センター(IZUNOME ASSOCIATION Johrei Center)を訪れる機会があった。世界救世教は周知の通り、岡田茂吉によって創始された大本教系の新宗教である。世界救世教はブラジルやタイにおいて教勢を伸ばしてをり、そこから移民を通 じて、現在はアフリカなどにも発展をしてゐるさうである。とりわけブラジルにおける世界救世教は広く根付いてをり、教団の理念に従った自然農法による農業をおこなふ会社等も存在する。そもそもブラジルにおける世界救世教の伸張は、はじめは日系人社会の間に滲透し、そこを起点として現地のブラジル人に布教していくことによってもたらされた。

さて、筆者が訪れたのはアーリントンにある浄霊センターで、夕拝などにも参加させていただいた。この浄霊センターは、主としてブラジルからの移民によって支えられてをり、さうしたブラジル移民によるコミュニティとしても機能してゐるために、ポルトガル語を母語とする方々が多く集まる状況にある。ただし、アメリカにおける世界救世教の布教活動は必ずしも活潑とはいえないため、これから如何にしてアメリカにおいて教勢を伸張していくのかが大きな課題のやうであ る。なほ夕拝で日本語の「天津祝詞」等が奏上されてゐるのを聞いてみると、久しぶりに日本にゐるやうな感慨を持った。ちなみに、日本における世界救世教の祭祀は、神道風の祭服で執行されるが、ここでは祭祀がスーツでおこなはれてをり、この日の夕拝も私服でおこなはれてゐた。

このやうな世界救世教といふ日本の新宗教の世界宗教化は、カトリックとの親和性の高さや心霊主義に由来するものださうだが、むしろ筆者が考えさせられたのは、「日本的」とは何かといふ問題であった。例えば世界救世教の神殿の構造は、ひじょうに神道色の濃い、つまり「日本的」なものといへさうであ るが、ブラジルにおける世界救世教の聖地の外観はどうみてもストーンサークルで、「日本的」な要素は皆無であった。かかる状況は、現地に適応していくことによって現出したも のであるといへるが、「日本的」なものと距離を置くことによって獲得されたものともいへよう。かうした柔軟性が日本の新宗教の世界宗教化を支えてゐるのではないか。

ただ、これらを見たとき、改めて筆者が感 じさせられたのは、儀礼や建築様式が「日本的」なものを象徴してゐるといふ事実である。では、神社神道が世界宗教化する時、かうした「日本的」な要素と距離を置かねばならないのであらうか、筆者としてはさうは思はない。だが「神道」「日本」とは何か、について改めて考えるべきことは多いやうに思ふ。」


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