投稿日:2020年10月17日(土)
今日はあいにくの雨模様、七五三詣のご予約も多数いただいておりますが、延期・キャンセルにつきましてもお電話にて遠慮なくお申し出ください…権禰宜の遠藤です。
さて、神社界唯一の業界紙である『神社新報』令和2年9月14日号掲載のコラム「神宮だより」を御紹介致します。
今日10月17日は伊勢の神宮にて年中最大の収穫祭である「神嘗祭」が斎行されます。全国の神社でも神嘗祭を奉祝する祭典が執り行われます。
抜穂祭(ぬいぼさい)はこの神嘗祭にお供えする新穀を収穫する大切な祭典です。
【神宮だより~抜穂祭~】
「神宮では年間千五百回以上のお祭りが執りおこなはれてゐますが、その中心はお米作りに関はるお祭りです。今年も伊勢市楠部町(くすべちょう)にある神宮神田では4月に籾種を蒔く神田下種祭(げしゅさい)、5月に御田植初(おたうゑはじめ)がおこなはれ、収穫の儀式である「抜穂祭(ぬいぼさい)」が斎行される時期を迎へました。
抜穂祭の歴史は古く、延暦23年(804)に撰述された『皇太神宮儀式帳』には禰宜が小内人や祝部等を率ゐて抜穂の行事をおこなってゐた記述が窺へます。抜穂とは、鋭利な鎌がなかった時代、稲穂を一本づつ抜き取り収穫してゐた名残といはれてゐます。現在の祭儀は、大宮司、少宮司以下の神職と耕|作関係者参列のもと、神宮神田の祭場において神饌(しんせん)がお供へされ、祝詞奏上の後、禰宜から忌鎌を授けられた耕作者の代表である作長が、白装束の耕作者を率ゐて稲穂を刈ります。刈り取った稲穂は抜きそろへて束にし、祭場に奉奠。かうして収穫された抜穂は数日間乾燥させた後、素木の御稲櫃に納められ、内宮は御稲御倉(みしねのみくら)に150束、外宮は忌火屋殿(いみびやでん)に108束奉安され、神嘗祭(かんなめさい)をはじめとする三節祭の御料としてお供へされます。
本年はコロナ禍の影響により、神田下種祭をはじめ神宮神田における神事は神宮職員のみでの斎行となりました。
また各種行事等も中止若しくは縮小を余儀なくされてをります。事態の一刻も早い終慮をお祈りするとともに、このやうな時こそ神職としてより一層祭祀の厳修に努めていかなければならないと痛感してゐます。」