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【神社新報記事】論説~令和初の神宮大麻頒布 地域との信頼関係の構築を~

投稿日:2020年5月2日(土)


昨日ライブ配信いたしました皐月月次祭・新型コロナウィルス感染症流行鎮静祈願祭の動画は、お陰様で700再生を超えました。いずれ年間の恒例祭典でもこのような試みをしてみたいと考えています…権禰宜の遠藤です。

さて、神社界唯一の業界紙である『神社新報』令和元年12月9日号掲載の論説を御紹介致します。

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神社新報 論説

【論説~令和初の神宮大麻頒布 地域との信頼関係の構築を~】

「天皇陛下の御即位にともなふ御大礼の諸行事が滞りなく執りおこなはれるなか師走を迎へた今、元号が令和と改まって初めての神宮大麻・暦や氏神神札を届ける頒布活動が始まってゐる。

伊勢の神宮で毎年9月の神宮大麻暦頒布始察にあはせて開催されてゐる推進会議においては、地方の山間部などでは過疎化による課題が、一方の都市部でも氏子意識の希薄化や神職の意識低下が指摘され続けてゐる。そのやうななかでも、各神社においては増頒布に向けた地道な取組みが続けられてゐるところも少なくない。改めてその尽力に敬意を表するところである。

今年はたび重なる台風被害や大雨等の影響で、いまだ避難生活を余儀なくされてゐる地域もある。慣れ親しんだ環境から離れて生活する被災者などにとっては、何かと落ち着かない心持ちで過ごす年の瀬であらう。日に日に寒さが募る折、一日も早い復興の日が来ることを祈らずにゐられない。

神宮大麻の頒布活動は戦後、神社本庁からの申し出によって神宮の委託を受け、全国の神社関係者による頒布が続けられてゐる。古来の御師の伝統を受け継ぎ、明治天皇の思召しに基づいて遍く頒布すべき性質のものであり、斯界が智勇を結集して頒布してきたといふ歴史がある。今日、神社本庁包括下の神社においてはその伝統を受け継ぎ、神職の重要な使命の一つとして、斉しく頒布活動に従事するものと認識されてゐる。

このたびの御大礼にともなひ、皇室と神道との関係性はじめ伊勢の神宮の本質や神社神道の伝統などが、これまで以上に詳細に報道されてゐる現状を顧みると、今年は神宮大麻奉斎の本義を教化広報する絶好の機会ともいヘる。

かねて、国民の「スピリチュアル」への関心が昂まりを見せ、「パワースポット」や朱印ブーム等、神社や神道への関心が多く寄せられてゐる状況とも相俟って、各家庭において神宮大麻や各神社の神札を奉斎することの意義を広め、真の豊かさや幸せとは何かを問ひかける機会と認識すべきだらう。

それら我々の使命を今一度、顧みた上で、神宮大麻・暦の頒布活動に臨む心構へを整へたい。

神社本庁では現在、神宮大麻・暦の頒布に係る課題として、「氏子地域の実態把握」と「頒布奉仕者の意識向上」の二点を掲げてゐる。しかし本庁の調査によれば神職が各家庭を直接訪ねてきて神宮大麻を受けてゐるといふ割合は一割にも満たず、神職以外の氏子総代や自治会・青年会などに、その多くを委ねてゐるのが現状といへよう。

また「氏子地域の実態調査」は、何も大麻頒布に限っておこなふものでもないだらうが、全国各地で国民の生活環境が変化するなか、神社を支へる地域社会、とりわけ地元自治会などが住民の転入・転出をはじめ、個々の宗教的な価値観などを把握することは容易ではない。危機管理にともなふ個人情報の保護の側面などからも、地域連携の稀薄化といふのは、都市部に限らず全国的な規模でむしろ必然とさへいへる現象であらう。かうした現状を見れば、「氏子地域の実態把握」といふことが、一朝一夕にいかない理由も想像がつく。実態を掴みにくい地域社会に向かって、実際に頒布をおこなふ奉仕者の意識も複雑であらう。

頒布奉仕者に話を聞くと、神宮大麻を拝受してゐるか否かに拘らず氏子区域を一軒一軒訪問する事例もあれば、例年拝受する家庭のみ訪ねて回る場合もあるなど、神社・地域によって対応は異なる。ただ年末の多忙な時期に他者の生活圏内に入っていくことについては、少なからず抵抗を抱くといふ声が異口同音に聞かれる。神宮大麻の頒布だけでなく、神社の維持費や奉賛金などの募財に対しても、氏子の反応・意識は一様ではない。多様な価値観、個々の生き方への配慮を求める傾向の強い氏子などには、神宮大麻の奉斎や神社への協力を説明することに、さまざまな困難がともなふことだらう。

しかしながら、多忙な年末年始の時間を合理的に使ひつつ、頒布実績といふ、ややもすると数字のみを効果測定の道具に使ふやうな見方では、今日の神宮大麻頒布の実情を理解することはむつかしい。忙しいなかでも、人と人との心が通ひ合ふやうなやり取りのなかから築かれる根源的な信頼構築の営みを、今一度見つめ直したいものだ。」


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