投稿日:2018年1月18日(木)
昨日は雨が強かったですが、ほこりっぽくなっていた境内が雨に洗われて、スッキリした感じになっています…権禰宜の遠藤です。
さて、伊勢神宮崇敬会発行『みもすそ』平成29年7月1日号のコラム「伊勢談草」を御紹介致します。
【伊勢談草 ~鼓ヶ岳のこと~】
神宮会館の裏手にそびえる、標高355.2メートルの鼓ヶ岳へ数年前、知人と一緒に頂上まで登りました。
少し下山した所に小さな嗣がお祭りされ、 鳥居の横に「五本松神社」と書かれ た案内板が立っていました。
昔から五本松と呼ばれ、展望が良いところから名勝としたのでしょうか。
この山には面白い伝説があり、 宮川と五十鈴川とに挟まれた中央に仏堂があったので、堂を胴に、川を革にかよ わせ鼓になぞらえて、山の名としたそう です。
もう一つは昔、この付近に住んで いた猟師で弓の名人がおり、山から山をめぐって最後に、この鼓ヶ岳にやって来ました。
樹の下で休んでいると、目の前に年老いた大狸が逃げ去ろうとしています。
猟師は獲物だとばかりに弓に矢をつがえ、まさに放たんとした時、身の危険を察した狸は何度も頭を下げ、手を腹に当てて命乞いをしている様子。
猟師が弓矢を置いてしばらく眺めていると、 狸はその恩を感じてか、急に腹鼓を打ちはじ めました。
その妙音たるや。
猟師は狸と別れて帰宅すると、村の人々にそのさまを語り、自分も狸のまねをして子供達を笑わせました。
この話が世間に広がり山を鼓ヶ岳と呼ぶようになったそうです。
林崎 舞はでは いかで通るべき 裁ケ岳を 打ちながめつつ (歌枕として詠まれた鴨長明の和歌)