投稿日:2018年4月7日(土)
昨夜は台風並みの雨風でしたね。春の嵐…権禰宜の遠藤です。
さて、神社界唯一の業界紙であります「神社新報」平成29年8月28日号掲載のコラム「神宮だより」に抜穂祭(ぬいぼさい)の話題が掲載されていました。
米作りが始まる春に、収穫の事に思いを馳せるのも良いかと思い御紹介致します。
神社新報コラム【神宮だより】~抜穂祭~
「伊勢市楠部町にある神宮神田では清流五十鈴川の水を引き入れ、神嘗祭をはじめ年間の諸祭典にお供えする御料の粳米と糯米とを清浄を期して栽培してゐます。神田の起源は極めて古く、神宮の御鎮座当時に遡ると伝へられます。
神田では例年四月初旬に籾種を播く神田下種祭、五月初旬には神田御田植初が斎行され、来る九月二日には収穫の儀式である抜穂祭が執りおこなはれます。この抜穂祭では古儀のままに稲穂が一本一本抜き取られて収穫されます。抜穂は『皇太神宮儀式帳』にもみえる古い行事であり、明治の御改正を迎えるまでは神御衣祭と同日の九月十四日(外宮は九月十六日)が祭日で、神嘗祭の直前に執りおこなはれる神事でした。
儀式では修祓、献饌、豊かな稔りに感謝する祝詞が奏上された後、神職より作長に授けられた忌鎌により作丁が稲を刈り、その穂先を一本づつ抜いて決められた本数毎に束ねていきます。その後、初穂は鄭重に護送され、内宮では御稲御倉(みしねのみくら)に、外宮では忌火屋殿(いみびやでん)内にそれぞれ奉安され、祭典に際して奉下し神前に供えられます。ま た、神田で収穫された米は、毎日朝夕斎行される日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうのおおみけさい)の神饌の一つである飯のほか、諸祭典で供へられる餅や酒の御料として、さらには祓の儀式における散供の料としても用ゐられます。
天孫降臨に際して天照大御神から日本人の主食にするやうにと下賜された斎庭の稲穂が、先人たちの手により連綿と守り続けられ、今年もまた黄金色に輝く稲田が瑞穂の国に広がる光景に、稲穂ならずとも頭が垂れます。」