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史蹟 源義経公の首塚

投稿日:2010年1月28日(木)


 今日の社頭は暇なので、元 白旗神社氏子総代会長 山本悦三氏(昭和21年就任)の著書【史蹟 源義経公の首塚の復旧について】を少しくご紹介させていただきます。

 白旗横町の中央山本ビル(大東京火災社屋)の裏に昔から「源義経公の首塚」のあった事は、この付近に戦前から住んでいた横町の住民はだれも知っている。筆者の祖母の語るところによれば、明治初年頃の首塚は白旗神社の管理下におかれ、約二間位の円形の盛り土の塚の上に大きな老松一本が立ち塚を覆っていたが、いつか枯死して切り倒され、代わりに杉の木が植えられていた由である。

 昭和二十四、二十五年頃まではこの首塚の前に「源九郎判官源義経公首塚」と刻んだ立派な石碑が建っていて、その周囲は空地であったが、戦後の混乱期に韓国の人がこの空地を古鉄の集積場として使用するため、首塚の土饅頭をならし石碑を隣地の「首洗井戸」のある公園に移してしまった。

 当時筆者も自分の仕事に追われ、その不当を叱る事もできなかった。その後、この周辺一帯の最後の地主であった領家の駿河屋糸店の相続人である横浜の吉田さん(駿河屋の令嬢で横浜の有名な大地主の吉田家に養女に行かれた方)が、亡びた駿河屋の財産整理の際、横町の東寿司に売却され現在東寿司の寮の敷地になっている。

 吾妻鏡によれば、~略~ 首級は両眼をカッと見開き、無念の形相物凄く ‘‘我は源義経なり‘‘と叫んだので、土地の農夫某がこれを拾いあげ、念仏を唱えながら近くの古井戸の水で洗い清め(この古井戸は、その後首洗い井戸と呼ばれて現存)、傍らの畑地の一隅を小高く盛って丁重に埋葬し、目印に小松を植えその霊を近くにある産土神の寒川神社の末社に祀って貰った。首級は、それ以後丁寧に取扱われ、またこの産土神は源氏の故事にならって笹りんどうの紋章を選び白旗神社と名のり、藤沢坂戸七ヶ町の氏神として爾来七百有余年敬われてきた。

 ~略~  さて、明治時代にはこの首塚周辺は白旗神社に属して、祭典の際には首塚の前の広場に御假屋が設けられ ~略~ 日露戦争後は、前にも述べた通り境内が拡張されたので、御假屋が常設された。 ~略~ その後御假屋のあった土地は、肥料商の高田屋山本商店に売却せられて倉庫敷地になり、現在山本ビルが建っている。またそのとき、首塚の土地は山本が買い取りを拒んだので、そのまま周囲の残地と共に当時藤沢きっての大醸造家大日野屋門坂氏が買取り首塚はそのまま残された。 ~略~ 明治末期に当主が急逝せられ、醸造業を廃業して財産を逐次整理し、 ~略~ この時首塚付近の土地は隣家横町の肥料商岸村三平氏に売却していかれた。この岸村氏は熱心な日蓮宗信者で、首塚の上に「九郎判官源義経公の首塚」と四寸角の卒塔婆を建て、おりおり香花を手向けて参詣しておられた老婆の姿を見掛けた。しかし大正末期にご夫妻共に逝去せられ亡びてしまった。その前にこの首塚付近の土地は領家町駿河屋糸店外岡重助氏の所有となった。

 この外岡氏は、~略~ 当主はある時易者の判断を求めた所、義経公の首塚を粗略に扱う祟りだと言われ、直ちに首塚の周辺を整備し立派な「義経公首塚」という石碑を建立してその跡を弔われたが、なお不幸が続き遂にご夫妻共終戦直後逝去してしまわれた。これで首塚を所有した地主は明治から約百年の間に三代とも滅びてしまわれた。所謂忌地と言うのかも知れない。昭和三十五年頃、横浜に嫁がれたご令嬢が外岡家の遺産整理せられた際、この首塚の跡地を含めて不動産を全部売却せられた時、首塚の跡地は白旗横町の東寿司が買い求めて目下アパートの敷地になって今日に及んでいる。

 ~略~ 白旗神社としては御祭神の義経公の首塚の事であるので、大切に保存する責任と義務があると思うし、四千戸二万人の氏子としてもなおさらであるので、ぜひ復原して後世に遺す事を考えなければならないと思うので、大方諸賢の御賛同を得たい。 

(写真は本のものではなく、他から抜粋したものです)上は明治10年頃。下は昭和50年頃の写真です。この資料はここまでしかなく、いつ頃に首塚道が無くなったのか…このブログをご覧の近所の方がお教え下さるのを期待してお待ちしております。

参考1

参考2

 昭和~平成の神社や藤沢についてお書き下さる方がいらっしゃると、後世には大変良い資料になると思います。どなたか宜しくお願い致します。


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
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