投稿日:2022年10月5日(水)
今週末、9日(日)は境内にて「白旗神社FOOD PARK」……の予定なのですが雨で中止にならないか天候が心配されるところです。自分にとっては初めての開催なので楽しみにしています、権禰宜の牧野です。
さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』令和4年9月19日号掲載のコラム「神宮だより~重要文化財「牡丹文八稜鏡」~」をご紹介致します。
【神宮だより~明重要文化財「牡丹文八稜鏡」~】
「今月十三日より神宮の博物館では、神宮微古館・神宮美術館・せんぐう館を会場に、特別展「生きる正倉院-伊勢神宮と正倉院が紡ぐもの―」を開催してゐます。本展覧会は、昭和四年度式年遷宮で調進された神宮神宝と正倉院宝物の再現模造を中心に式年遷宮の歴史や制度に関する資料も展示する大規模特別展です。今回はこの中から神宮徴古館本館にて展示中の古神宝の一つである「牡丹文八綾鏡」を御紹介します。
本資料は背面に牡丹や唐草の文様をあしらった白銅鏡で、八枚の花弁を象った八稜形。径は役30センチで一部に火難による汚損が認められます。鏡全体の縁を壁のやうに立たせて廻らせてをり、中央部分には装飾を施した座とともに紐穴が据ゑられ、全面に花文を左右非対称に表してゐます。
神宝の鏡は両宮に奉られますが、「八花崎」とも云はれる八綾形の鏡は、外宮とその別宮に奉献されるものとして知られてゐます。八綾鏡の遷宮神宝としての調進については『外宮応永記』などに記録されてゐますが、その鋳造についてはすでに第九十代龜山天皇の即位にかかる『文永六年八月大神宝送文』に記述が見られます。
昭和三十七年(一九六二)に文化財保護委員会による「神宮を中心とする文化財総合調査」がおこなはれ、翌三十八年(一九六三)に他の古神宝と一括で重要文化財に指定されました。戦前は「宝相華紋八稜鏡」と呼称されてゐたやうですが、この折の調査以降は現在の「牡丹紋八稜鏡」と改称され引き継がれてゐます。なほ、他の古神宝とは来歴が異なり、本資料のみ大正時代に博物館へ献納され現在にいたってゐるものです。製作年代は当初鎌倉時代とされてゐましたが前出の調査により室町時代と改められ、応永三十年(一四二三)に斎行された外宮別宮月夜見宮の遷宮の際に調進されたものと類推されてゐます。
会期は十一月九日まで、本資料は十月十二日までの前期展示での公開となってをります。伊勢にお越しの際にはぜひお立ち寄りください。」
(文化部・長谷川明輝)