投稿日:2024年7月29日(月)
某新聞社に勤めている私の大學時代の先輩から唐突に「初任研3日目の報告(ブログ)はまだですか」とLINEが届きました。安心して下さい、忘れてませんよ!・・・権禰宜の宇多です。
ということでお待たせしました、初任神職研修3日目です。
3日目の集合時間は30分ほど早かったので、乗車する時間も早めて到着したところ・・・誰も来ていません。更衣室の明かりも消えています。時間を間違えて遅刻してしまったのかと絶望しつつ、改服していたら・・・到着した班員が階段を下ってやってきました。気持ちのいい一番乗り、というものは時と場合によりますね。安心しました。
〇「神宮概説」
この講義は、伊勢原大神宮の宮司を務める宮本先生による講義でした。ちなみに「伊勢原」という地名は、伊勢から来た人々が開村したためそう名付けられた、という由来だそうです。「宮本」先生の苗字も、何か関連する理由があるのでしょうか。質疑応答の際に聞いておけばよかったと軽く後悔しております。
当ブログをご覧の方には、講義の内容を踏まえて軽く神宮について紹介します。いわゆる「伊勢神宮」は通称であります。正式名称は何度か先述しております「神宮」です。また、「神宮」は天照大御神をお祀りする内宮・豊受大神をお祀りする外宮のことだけではなく、摂社・末社・所管社も含めて125社、三市三郡にわたる一大神社群の総称です。神宮の「摂社」は延喜式に記載されている神社、「式内社」であり、「末社」は内宮の儀式書「皇大神宮儀式帳」および外宮の儀式書「止由気宮儀式帳」に記載されている神社で、「所管社」は文献に記載のない神社であります。また、全国の○○神宮と○○大社の社名を持つ神社は、それぞれ○○神宮が天神(あまつかみ)を、○○大社は地祇(くにつかみ)をお祀りする、という違いがあります。伊勢の神宮では来たる令和15年に第63回目の遷宮をひかえており、令和5年には、天皇陛下に遷宮実施のおゆるし「御聴許」を賜ったところです。遷宮の進捗について、今後とも神社新報より引用し、当社ブログでも紹介いたします。ぜひご覧ください。
〇「祭式」
祭式の講義は、座学ではなく実際に動きを確認しながら行われました。練習場は道場のメインフロアで、柔道や合気道で使用される畳の上で作法を行います。しかし畳が柔らかすぎるため、足の痺れは軽くなるものの、膝をついて前後に動く作法(膝進・膝退といいます)が不可能であり、講師の○○先生は残念そうでありました。受講生の一部には安堵の表情を浮かべる者もおりました。こうした祭式の講習(研修も含む)は通常、基本の復習をすることがほとんどですが今回の祭式の講習では初めて目にする「奉幣行事」の説明がありました。「奉幣行事」とは、各神社で年に一度の重要祭典「例祭」、当社ではいわゆる「白旗まつり」において、神社本庁より預かり祭典の中でお供えする「本庁幣」がない場合に、代わりに行われる作法のことです。御幣を左・右・左と歩みに合わせて振る行事で、講師の先生は兼務社や宗教法人ではない神社の例祭で奉幣行事を積極的に行うよう勧めておりました。我々宇多家の奉仕する上野八幡宮においても、秋祭り(例祭)、春祭り(新嘗祭)では金幣で奉幣行事を行っております。確認はしていませんが、恐らく昔(新しくとも戦前)から行っているものと思います。
(國學院大學ホームページより引用)
〇「神道行法」
「神道行法」は「禊(みそぎ)」の講義です。私が最後に禊を行ったのは1年前の1月、鐵砲洲稲荷神社の寒中禊でした・・・神道では滝行をするのも「禊」の一種とされています。ふんどし姿で水を浴びる、という行為がイメージとされていますが、参拝前の手水や入浴もまた「禊」の一種であります。日本神話では黄泉の国から帰還した伊弉諾尊(イザナギノミコト)が川で身を清めました。これが「禊」の元祖です。現代の「禊」は「川面凡児」が、私の地元の隣町、山口県周南市須万秘密尾に鎮座の氷見神社に籠もり、体系化しました。
前半は参集殿で簡易的に説明があり、いよいよ後半はふんどしを着けて道場地下の禊場で集まります。「禊」は全国の神社で季節を問わず行われますが、必ずウォーミングアップとして鳥船(とりふね)行事、雄健(をたけび)行事、雄詰(をころび)行事、気吹(いぶき)行事に全力で取り組みます。船のオールを漕ぐ動き、魂を込めて和歌を歌い、精神を研ぎ澄ませて深呼吸をし、身体の状態を整えます。そして桶を取り、水を汲み、一心不乱に心と体を清めます。
私が初めて禊をしたのが7年前、明治神宮の禊場も同じ方式だったことを思い出しました。
また、今回の初任神職研修で初めて禊をする、という方も数名いらっしゃいました。藤沢諏訪神社の諏訪宮司さんも初めてなようで、感想を聞いたところ、「いやー、禊は楽しいですね」と笑顔で答えられました。6月上旬、暑さに向かっていたこの時期は、年間を通して最も気持ちよく禊ができるのかもしれませんね。
過去の経験を思い出しつつ、新しいことを学ぶ。そんな3日目でした。
次回は最終回。4日目につづく・・・