投稿日:2019年5月16日(木)
本日は境内の清掃の後に、梅の実取りをしました。沢山とまではいきませんでしたが大振りの梅がとれましたので、洗って梅酒にしようと作り方を検索中…権禰宜の佐藤です。
さて、昨日に続き伊勢神宮崇敬会だより「みもすそ」の特集をご紹介していきます。
[奈良墨や和ろうそくの原料にも]
照明とひて需要が少なくなった現在でも、灯芯は日本の特産品や伝統行事を支えています。
たとえば、奈良の特産品である墨。奈良墨は八〇六年、空海が唐から筆とともに墨の製法を持ち帰ったとされ、昔ながらに灯明皿に灯芯を置いて油を燃やし、蓋についた煤を集めて膠を混ぜ製墨します。
灯芯は和ろうそくにも使われています。町内の中川商店では、竹串に和紙と灯芯を巻き付け、真綿を絡めた棒状の芯を作っています。この芯にハゼの実の油を何度もろうがけしたものが、和ろうそくです。
茶道の「夜咄の茶事」でも灯芯の灯りは欠かせません。冬の夕暮れdきから行われる茶事で、長灯芯には「灯りが消える心配がありませんから、どうぞゆっくりおくつろぎください」というメッセージが込められています。
保存会の地道な広報活動が実を結び、現在では東大寺の二月堂修二会(お水取り)、元興寺の地蔵盆、春日大社、法隆寺など名だたる寺社の伝統行事に安堵町の灯芯が使われています。平成二十七年には、灯芯ひき技術が、町の無形民俗文化財に指定されました。
「町の小学校では、郷土学習の時間に灯芯ひき教室を開催しています。その中から将来のひき手が育ってくれたら」と橋本館長は夢を語ります。
[身近な植物資源を活かす]
闇をおそれるあまり、人類は原始的な灯火具からガス灯、電灯と、昼さながらの明るさを求めて進化をとげてきました。エジソンが白熱電灯を完成させたのは一八七八年。わずか百年ほどの間に、日本古来の灯りの記憶が失われつつあります。
資料館の展示パネルに「灯芯用のいぐさは捨てるところがない」と書かれていました。灯芯をひいて残った藺皮を、昔の人々は昆布巻や菓子、編み笠のひもに、紙や土壁の材料にもして、あまねく使い切っていたといいます。
神宮の夜のおまつりには松明や篝火、灯明が使われます。二十年に一度の式年遷宮では、親殿を汚さないように、油煙が少ない椿油に灯芯を浸し、照明としました。身近にある植物資源を無駄なく活用し、知恵と創意工夫を重ねてきた日本文化の精神を、神宮のおまつりや営みから感じ取っていただければと願います。
春のお伊勢参りシーズン、少し寄り道して、灯芯のふるさと安堵町へ立ち寄られてはいかがでしょうか。」