投稿日:2026年5月16日(土)
西武渋谷の中にある、学生時代にお世話になった365cafeが9月をもって建物と共に閉店しまうことを社務所に流れるラジオで聞きました。衝撃を受けた私は、最後の別れを告げに入店。当時一緒に働いた方が運よく出勤しており(私がいた当時から残っているのはこの方しかいないようです)、以前より繁盛している店内に2人の陽気な話が混ざりました。東京で人の暖かさなど求めていませんでしたが、当時あのカフェで共に働いたスタッフは個性的で暖かく、ずっと楽しくて、私にとって東京の中で数少ない好きな場所でした。権禰宜の宇多です。
さて、去る5月11日(月)、神奈川県神社庁にて神社実務研修が開催されましたので報告いたします。
実務研修といっても、その内容は様々です。今回は國學院大學で神道文化学部の学部長を務める黒﨑浩行先生は「〈回復する力〉と神社・祭」、仙台白百合女子大学ほか多くの大学で教鞭をとる山崎洋史先生には「神社とこころのケア~心理学の観点から~」のご講義を賜りました。
▽「〈回復する力〉と神社・祭り」の講義。東日本大震災で被災した神社の現在地を、黒﨑先生の活動報告から知ることができました。津波の範囲が広範囲に及んだため、行政によるボランティアの拠点が設置できない「隙間」が存在していたこと、避難区域の再編による支援物資の停止が原因での集団移住、津波の被害のない地域の住民は残り、住居が流された住民は他地域に転出してしまって氏子が二分化されてしまった例など。今回の講義ではそうした背景のある神社がどのように再建したのか、という具体例を学びました。社殿が新しく建立し、祭のためには元住民も戻ってきて準備に汗を流す。伝統建築コースで学ぶ熊本の高校生と神社が手を組み、仮社殿を寄贈、のちに日本財団がその仮社殿を包む新しい社殿を建立・・・など、テーマにもある「〈回復する力〉」が発揮されていることが分かりました。
※〈回復する力〉・・・平常時の災害への準備(例:普段の人々の防災意識)、発災時の対応行動、復旧復興期の被害の回復・暮らしの再建(例:仕事復帰、教育の再開などを指すが、数十年におよぶ場合も)のための活動といった、被害軽減のための取り組み。

▽「神社とこころのケア~心理学の観点から~」の講義。
山崎先生は教育心理学・臨床心理学を専門とする神職、という恐らく日本で一人しかいないであろう経歴の持ち主です。そのため、神職個人として災害時に何をすべきか(して良かったこと)を学びました。東日本大震災での、宗教者の活躍(読経ボランティア、被災者の祈祷)により、今後も災害時において宗教者が円滑に活動できるよう、現在では「臨床宗教師」が誕生したそうです。これは行政(文部科学省)による支援が受けていますが、実は「政教分離の原則」に当たらないのです。日本国憲法89条では、”特定”の宗教団体との結合を制限していますが、臨床宗教師は超宗教の集い、諸宗教の協力ですので”特定”の宗教団体には当たらないのです。目から鱗でした。
また、我々が普段、祈祷の奉仕をすることによって参列者の心に及ぼす影響について、先生が自ら斎主となり実験した結果を報告して下さりました。ここで細かく紹介するのは困難ですが、10代~20代および女性には感情的負荷が軽くなったようです。

本研修を受けて、現代において、普段から神社はどのような立ち位置であるべきか、また我々神職が個人の立場で人々のためにできること、接し方、どのような気持ちで祈祷を奉仕するべきか考えるきっかけになりました。
神社を中心としたコミュニティの構築も、防災の一環で、また発災後に行う祈祷にも大きな意味があります。神職として、いつか起きるかもしれない災害のことを意識しながら、奉仕をする時代になっております。
















