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神社新報(令和6年7月22日)より『小さきものを愛でる心』

投稿日:2024年8月8日(木)


暑い夏休み、休日にはお出かけしたいけれど何処へ行こうかと悩ましい・・・出仕の本山です。神社新報にお勧めの展覧会が掲載されていましたのでご紹介いたします。
以下『神社新報』(令和6年7月22日付)こもれび欄より転載です。
小さきものを愛でる心
東京・千代田区の皇居東御苑内にある皇居三の丸尚蔵館は、江戸時代の絵師、伊藤若冲の《動植綵絵》(国宝)などで知られる。平成四年八月に建物が竣工。代々皇室に受け継がれてきた御物を収蔵し、公開してゐる。
 奈良時代の正倉院宝物に始まり、いつの時代においても目を見張るやうな巧みな技と稀有な素材が用ゐられた美術品は皇室の方々の暮らしを彩り、大切に継承されてきたものである。国立博物館に所蔵された品々を含め、現在ではわたしたちの目に触れる機会も多くなり、幸せなことだと思ふ。
今年の夏は猛暑日が続出してゐるが、展覧会に出かけてみてはいかがだらう。三の丸尚蔵館では「いきもの賞玩」と題した企画展が七月九日から九月一日まで開催されてゐる。
 日本には古来、小さき命を愛でる文化があり、鳥や昆虫、魚や兎などの小動物の愛らしい姿が描かれ、器物にかたち作られてきた。十九世紀後半にフランスや英国を中心に「ジャポニスム」といふ一大ムーブメントを引き起してきたのも、浮世絵の斬新な富士山や大波だけが理由ではない。西洋の人々が絵の主題と考へてこなかった、小さないきものが美術の中に繊細に組み込まれてゐたことも、実は大きな魅力の一つであったのだ。
彫金で繊細な毛並みまで再現されたいたちや、象牙の丸彫りで作られた鼠の置物は今にも動き出しさうで、表情までもが本物らしく、文字通り「愛でたくなる」作品だ。伊藤若冲による《動植綵絵》の一幅、「芦鵞図」には白く大きな鵞鳥が堂々たる姿で描かれてゐる。
鶏が得意とされる若冲だが、この鵞鳥の細かな羽の表現をぜひ観察してみてほしい。遠くから見ると白一色と思はれた羽は、黄金色の濃淡で微妙な陰影が施されてをり、羽の立体感がみごとに現れて鵞鳥の胴体の丸みが感じられる。大きな花瓶に描かれた大輪のひまはりの花びらからは、ひょこっとカマキリが顔を出し、思はず笑みがこぼれてしまふだらう。
平安、鎌倉時代の書や、世界各国から皇室に献上された美術品も含め、あちらこちらに小さき命が息づいてゐる本展は、涼しい展示室の中でいっとき暑さを忘れて雅びな世界を堪能できる展示となってゐる。金曜・土曜は夜間開館も実施されるとのこと。ギャラリー・トークなども開催され、こども向けの楽しいワークシートも用意されてゐる。前期と後期で展示替へがあるので、公式サイトで確認してから行くことをお勧めしたい。
森山 緑(もりやま・みどり=慶應義塾大学アート・センター学芸員)
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