投稿日:2018年7月13日(金)
明日は、神様の分霊(分身)を、本殿から神輿にお遷しする神事である出御祭が行われます。権禰宜の新久田です。
さて、神社界唯一の広報誌である『神社新報』平成29年10月9日号掲載のコラム「神宮だより」をご紹介致します。
「【神宮だより~御塩について】
10月5日、伊勢市二見町に鎮座する皇大神宮所管社の御塩殿神社において御塩殿祭が執りおこなはれました。禰宜以下神職が参籠潔斎後、浄衣を著装して奉仕。神嘗祭をはじめ、すべての祭典にお供へする堅塩を焼き固める際の祭典で、併せて全国の塩業関係者の繁栄をお祈りしました。この日より五日間、参籠潔斎した神職が神社に隣接する御塩殿において忌火をきりだし、竈に火を焚き、御塩焼固が厳かにおこなはれて約百個の堅塩が奉製されます。三月上旬にも年間に用ゐる堅塩の数を見計らひながら焼固がおこなはれ、現在では年間二百個ほどの堅塩が奉製されてゐます。
御塩の奉製作業はまづ毎夏で最も気温が高まる七月土用の頃、神社から約一キロ離れた二見町の五十鈴川下流にある、入浜式塩田の御塩浜での採鹹(さいかん)作業から始まります。海水を含んだ砂を御塩浜一面に撒き広げ、天日によって乾かします。これを砂ごと浜中央の沼井(ぬゐ)と呼ばれる穴に集め、その上から海水を注ぐことにより、沼井の下に筵で濾過された鹹水(塩分濃度が高い海水)ができ上がります。その後、鹹水は神社の裏手にある御塩焼所に運ばれ、地面に直接藁屋根を伏せた構造のひじょうに珍しい建物の中で、鹹水を大きな平釜で煮詰めていきます。でき上がった荒塩は俵に詰められ、御塩焼固まで大切に保管されます。
清浄に奉製された堅塩は、神嘗祭をはじめ神宮の祭典に欠かすことのできない重要な神饌の一つであり、これからも変はらない工程でつくられていくのです。」