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【神社新報記事】論説 過疎対策の新施策~神社存在の意義と相互扶助~

投稿日:2017年12月17日(日)


今日12月17日(日)は「三隣亡」(さんりんぼう)です。三隣亡とは、地支即ち十二支の活動が凶変を現す日で、普請開始・柱立・棟上・造作を忌む日とされています…権禰宜の遠藤です。

さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』平成29年6月26日号より論説記事をご紹介致します。

神社新報論説29.6.26
「<過疎対策の新施策~神社存在の意義と相互扶助>
人口減少社会において宗教施設の消滅危機が差し迫ってゐるとの問題については、仏教や諸宗教のみならず、神社界においても、もはや放置できない重要課題として対応が迫られてゐる。
かうした緊迫感を声高に主張することに対して批判的な立場もあらうし、自社の問題としては等閑視の向きも見られよう。しかしながら、諸統計が示す将来人口の動態をはじめ、神職後継者育成問題や兼務神社のぞうかなどに窺はれる厳しい状況を直視することなくして、神社振興の「興隆」や祭祀の「振興」、斯界の「発展」といふ言挙げが、足元を離れ浮かび上がる結果になりかねないと危惧される。

かうしたなか、神社本庁では「過疎地域神社活性化推進施策」の施行へと一歩踏み出すことが表明され、組織的な神社護持、運営の体制構築が図られるやうになった。施策の中心は、視点を神社から地域へと広げ、地域ぐるみの祭礼行事の継承・振興・復興により過疎地域全体の「活性化」を図るところにあり、また、その手法として個々の神社を超えた「相互扶助」体制の構築に努めることにある。今後、施策の具現化が進むなかで、遅きに失したといふ「あきらめ」、目標達成が見られない神社・地域の「切り捨て」などなきやう、慎重に共同の取り組みとして継続されることを期待するところである。
一般に施策が展開される上では、それを推進する側と被推進側の立場、そしてその間に位置する仲立ち的な立場がある。これら三者が有機的に連携されることが、目的を達成する上で重要な要件となることは言ふまでもない。本庁・神社庁・各社の神職は、いづれの立場にあって、地域への視点を降下させ、問題の本質を捉へ、神社・地域に寄り添ふことになるのか、情報の整理と分析を深めつつ施策の推進が図られることを願ひたい。

今回の施策では「相互扶助」体制といふ理念が示されてゐる。互助とも言はれる、この理念を斯界としてどのやうに認識しつつ体制構築を進めていくのがふさはしいだらうか。
一般に相互扶助とは、人類の初期から世界各地で広く見いだされる生活の姿であると言はれる。向う三軒両隣の地縁関係や血縁関係による社会のメンバー、あるいは組織の成員が、自主的な心根により援助し合ふことである。現代社会では、さまざまな社会サービスや制度が発展してゐる反面、相互扶助の機能が低下してゐることは縷々指摘されてゐる。ただし、さうした制度や仕組みなどが整へられても、その網の目に掛からない場合や目の行き届き難い状況が起こり、むしろそれが課題ともなってゐる。それを補ふ相互扶助の趣旨は諒とされても、「相互」の「扶助」が一つの枠や組織内で完結してしまふと、成員以外が除外されるやうなことも起きてしまひ、留意すべき点でもあらう。
地縁や血縁といふ関係性が分団的な状況、新たな関係性が、個人化した現代社会では興味の赴くまま選択的に構築される傾向の中で、その興味や関心が神社といふ場合に、何に向けられてゐるのか、時には冷静に見極める議論も求められる。「クール・ジャパン」の掛け声ではないが、確かに「神道」への関心が昂ってゐるとも言はれる。また、スピリチュアル・ブームに見られるやうな関心が、多様な人々を神社と結びつけてゐることも実態としてあるが、そこにはこれからの神社が支へられていく意識とどのやうな繋がりがあるのか振り返りも必要であらう。

このたび策定された本庁施策の「相互扶助」の「相互」は神社と地域、地域を越えた神職・氏子間といふところがまづ基本として考えられてゐる。地域のありやうが社会全体の変動のなかで諸変化をおこしてゐる個別場面で、「互助」の内容が何であるかを見極めることは、神社間における互助以上に難しいテーマといへよう。そのためにも、まづ私たちにとって必要なことは、そこに神社が鎮座してきた経緯と存在の意味とを改めて確認することと、地域の現状を客観的に診断する力量を具へることだらう。
そして、次世代に及ぶ相互扶助の意義の新たな創出・工夫が、「漏るゝ事無く落つることなく」ニーズに応へる趣旨に副ふことではなからうか。」


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
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