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伊勢神宮崇敬会 発行 【みもすそ 第95号】特集 古市街道を歩く①

投稿日:2020年8月5日(水)


厳しい暑さと日差しに夏を実感しています…外出するときはマスクが手放せませんが熱中症にならないよう周りを気にしつつ水分補給をしています。一日も早い流行鎮静を願って…権禰宜の佐藤です。

さて、本日は伊勢神宮崇敬会発行の『みもすそ』95号(令和二年夏)より、特集「古市街道を歩く」を御紹介致します。

みもすそ95①

 

みもすそ95②

 

みもすそ95③

みもすそ95⑤

【特集 古市街道を歩く】

外宮と内宮を最短距離で結んだ古市街道。かつては遊郭や芝居小屋が軒を並べていました。空襲によって町の大半を焼失しましたが、老舗宿や史跡が往時の面影を伝えています。間(あい)の山を越えて歩き参宮してみませんか。

江戸時代、「一生に一度でも」と庶民が夢見た伊勢参り。東海道から分岐した伊勢街道(参宮街道)の最終地、外宮と内宮を最短距離で結んでいたのが古市街道(通称)です。

総距離は約4.5キロ。「間(あい)の山」とよばれる小山の尾根に沿って延びる街道には、かつて妓楼70軒あまり、遊女千人超を数える花街があり、吉原や島原に並ぶ賑わいをみせていました。しかし明治の改革や昭和の空襲によって建物の大半が焼失。町並みはすっかり現代風になりましたが、唯一残る老舗旅館や、社寺、史跡を示す石碑が往時をしのばせます。

《伊勢音頭恋寝刃(こいのねたば)の舞台》

古市街道の出発地点は、勢田川に架かる小田橋(おだのばし)。古くから神宮の神饌がここを通って運ばれたことが文書に残され、御遷宮用材もこの橋詰に着けられたことから、今も内宮領のお白石持(陸曳)の出発地になっています。欄干に擬宝珠(ぎぼし)が並ぶ橋の下には、日陰を求めてコイが群れていました。

小田橋を渡ると、古市までは登り坂となります。坂道の途中、民家の前に「お杉お玉」の石碑が建っています。江戸時代、沿道で多くの女性芸人が唄や三味線を披露する中、客からの投銭をバチで交わす芸で評判を呼んだ、お杉お玉の活躍を示した碑です。

坂を上りきる辺りからが昔の古市(現倭町、古市町、中之町、桜木町)です。近世以前は人家の少ないエリアでしたが、天明~寛政(1781~1801)頃から大勢の参宮者が訪れ賑わうように。

古市三座とよばれる芝居小屋が建ち、歌舞伎役者にとっては江戸・上方進出の足がかりとなる登竜門ともなりました。「古市芝居跡」の碑は、三座のひとつ長盛座(ちょうせいざ)があったところです。

近鉄の跨線橋の手前、街道を右手の路地に入った先にあるのが大林寺(だいりんじ)。有名な歌舞伎狂言「伊勢音頭恋寝刃」の元になった刀傷沙汰の主人公・遊女お紺と孫福斎(まごふくいつき)の比翼塚がひっそりと建っています。

「事件があった妓楼油屋と大林寺は、昔は地続きだったんです。昭和40年代に近鉄線を通すため、切り開かれて尾根が分断されてしまいました」

境内で庭木の手入れをしていた住職が教えてくれました。街道に戻ると、ここから先は平坦な尾根道となります。

《懸崖造(けいがんつくり)の老舗旅館》

跨線橋を渡ったすぐ左手にあるのは、芸能の神アメノウズメノミコトを主祭神として祀る長峯神社。かつての芝居の里とあって、名古屋や大阪へ公演に来る役者も、伊勢参宮とあわせてお参りされるそうです。常駐する神職みえないようで、社務所には朱印を求める人のために連絡先の電話番号が記されていました。

左手の路地に入ると、創業二百年余の料理旅館「麻吉」があります。傾斜地を這うように段々と下っていく懸崖造の棟は五層六階にも。道をまたぐ渡り廊下、べんがら色の板戸、屋号入りの瓦…遊里の情緒をしっとりとたたえ、おかげ参りの時代にタイムスリップしたかのよう。

「はっきりした創業年はわからないのですが、1782年の街並図に麻吉の名が記されています。この古いおくどさん(かまど)は、棟の中心地にあり、二十年前までは湯を沸かすなどして使っていたんですよ」と女将の上田聖子さん。

明治時代は三十人もの芸妓を抱える県下一の大料理店だったとか。最上階の大広間「聚遠楼」にお邪魔させていただくと、窓の向こうに朝熊山の遠望が広がっています。ここで夜ごと伊勢音頭が賑やかに踊られていたのでしょう。「古い建物の維持管理は大変で、毎年台風の時期は怯えてばかり」と嘆息されま すが、歴史好きなら一度は泊まってみたい佇まいです。

 

続きます。


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