投稿日:2021年3月9日(火)
【続 神道百言④】
『人は乃ち天下の神物(みたまもの)なり。心神(わがたましひ)を傷(いた)ましむるなかれ。神は垂るるに祈禱を以て先きとし、冥は加ふるに正直を以て本となす』~伊勢二所皇大神宮御鎮座伝記~
( ~略~ 「人は乃ち天下の神物なり」との宣言は、天下の人間はすべて、神の「みたま」を受けて、此の世に生まれてきたものであるといふ神道の第一の宣言である。
神道が神中心に立つてゐることを示したもので、即ち神道の他力宣言である。「心神を傷ましむるなかれ」とは、神から頂いた自分心(たましひ)を、神の心の表現として、これを奉護し、尊重すべきことを示したものである。
神は祈禱(いのりとは心の表現である)を重んずることによつて、一層神に近づくことが出来る。平常、心としては正直の二字を徹底に守り抜くことが、神の御心に合致するのであるとしてゐる。伊勢神道の名言の一つである。)
山崎闇斎は「神垂祈禱、冥加正直、我願くば之を守り、身を終るまで惑ふことなからん」と語られ、彼の神道を「垂加神道」と称した由来が知られます。
神垂祈禱(じんすい きとう)・冥加正直(みょうが しょうじき)
とは、神の恵みを受ける(垂る)ためには人として祈祷が第一で、神慮が加わる(冥加)ためには人として正直を以てするのが根本であるということです。
我々神職が一番大切にしている状態が「浄明正直」(じょう・めい・せい・ちょく)です。これは一般社会でも重要であろうと思います。言葉にするだけでも、言霊(ことだま)によりその状態に近づけてくれます。いつも心に浄明正直。宮司です。
さて去る6日(土)、藤沢市高倉に鎮座します諏訪神社で役員をお務めの廣田様の本家において、稲荷社の撤去をされることになりお祓いに伺いました。
いつの時代からあったか定かではありませんが、近隣の廣田さん7軒が崇敬されているお社で、皆さんがお別れに参列されました。
とても立派で、こまめに手入れ(修繕)をされておりましたが、事情があり撤去(祭り上げ)されることになりました。
正面中央には『廣田稲荷』と書かれていたであろう扁額が掲げられており、裏には現当主のお祖父さんにあたられる方が明治36年に書かれたというご本人の略歴が記されていました。
撤去工事は当社の御祓川(みそぎがわ)の施工などを請け負って下さっている蛭田造園㈱様(藤沢市高倉)とのことでしたので安心です。
いずれに致しましても、廣田家皆様に災い無くご健勝にてお過ごしになられますよう祈念申し上げます。