投稿日:2021年11月18日(木)
【暦で見る九星の運勢シリーズ】五黄土星:12月(各自の九星についてはブログ末尾の表をご参照ください)「吉方…東・西・北・北東 気は充実していても内容伴わず空回りしやすいので注意を。徐々に進めば何とかなるが、焦って急ぐと間違いを起こしやすい。集中力を高め、一歩一歩足元を確かめながら歩んで」とのことです…権禰宜の遠藤です。権禰宜の遠藤です。
さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』令和3年11月15日号掲載のシリーズ「刀剣は語る」その17~京の三日月宗近~をご紹介致します。
【刀剣は語る~京の三日月宗近~】
「都が京都にあった平安時代。遣唐使を廃止したのちは、かな文字など、外来の文化を優しく、美しくしていく和風化の時代でもありました。それは刀剣にも表れます。刀剣研究の第一人者として知られる佐藤寒山氏が『日本名刀100選』に、「太刀姿が優美であることは、平安文化の特色と軌を一にする所である」と取り上げたのが、平安時代作の「三日月宗近」でした。
この「三日月宗近」は、九百年を経た今の世でも最も人気の高い一振です。その人気ぶりを目の当たりにしたのが、京都国立博物館で開催された「京のかたな」展(平成30年9月)でした。国宝19、重文61を含む京都山城鍛冶系のおよそ170点におよぶ大規模な刀剣展は、刀剣ブームとも相俟って、たいヘんな話題に。筆者が朝一番に訪れるも、館内にはすでに行列ができてゐました。「三日月宗近」を一目で見るための列です。入館して一時間ほど並んで、やうやく一振の太刀を目の当たりにすることができました。
山城鍛冶の祖とされる三条宗近の太刀は、刃長およそ80センチ、刀身の反りは2.7センチ。総じて細身で、反りが強く、そして手元が広く、先幅が狭いため、すらっとした優美な姿。それはまさに平安といふ雅な時代を映すやうです。
そして、人々が刀身に近づき、目をこらすのは、刃文の縁に浮かぶ「打ちのけ」を見ようとするためです。これが三日月に見えることから名物「三日月宗近」の名があります。美しい地鉄
にぼんやりと浮かぶ白い三日月を目にすると、物語と一いふのははっきりしたものではなく、影のやうな、どことなく朧で、うつろなものから生まれるやうに思ひました。
刀工の三条宗近は、謡曲『小鍛冶』の主人公にもなってゐます。時の帝からの命により、天下守護の剣を鍛へることになった宗近が、伏見稲荷に祈願をかけると、稲荷の神さまのお力に助けられて「小狐丸」を鍛へ上げることができたといふ筋立てです。まさに宗近の刀が、神の力をも借りてゐると思はせる神秘性も合はせもってゐるから生まれた物語でせう。
宗近は三条小鍛冶とも呼ばれました。これは山で鉄を作る「大鍛冶」に対しての「小鍛冶」で、大鍛冶の作った鉄を使ひ、刀や道具などを作る人の総称といはれてゐます。しかし、「小鍛冶」と呼ばれるのが宗近に限られるのは不思議なことです。
「名物「三日月宗近」に私たちが見るのは、多くのものを抱へながらもとらへきれない、朧のやうな美しさでせうか。」