投稿日:2018年8月25日(土)
今日はおとなり藤沢市大鋸鎮座の諏訪神社の例祭の日です。当社の宮司がお手伝いに参っております。詳細は後日のブログにて…権禰宜の遠藤です。
さて、我々神職が祭典の際などに着用する装束(しょうぞく)について、色とりどり・様々な紋様の装束を目にされたこともあろうかと思います。
しかし、どの様な種類があって、何をどんな時に着用するか疑問に思われたこともあるのではないでしょうか。
今回は、その中でも最も多く着用される「狩衣」(かりぎぬ)についてご紹介したいと思います。
▽狩衣(写真は白旗神社神幸祭)
狩衣は、もともと平安貴族の常装(普段着)でした。自宅にいるときや、プライベートな外出には狩衣で出かけたといいます。
袖の紐(露=つゆ)を引っ張って絞ることで、袖をまくって作業が出来るようになっていました。(現在ではそのような使い方はあまりしませんが…)
現代の神社神道においては、小祭式(白旗神社では1日・15日の月次祭や左義長神事・各奉告祭など)・日々の御祈祷・地鎮祭などの出張祭典で使用されます。
構造としては非常に単純で、前の所で首の部分を止めて腰の部分を帯一本でくくっているだけですので、慣れれば1分もかからずに一人で著装(ちゃくそう=装束を着けること)することができます。
頭には烏帽子(えぼし)、袴は正式には指貫(さしぬき=裾を内側で吊って、着用する袴)ですが、我々神職の常装としては差袴(さしこ=およそ足の長さで裾を切ってある袴。一般的な袴と構造は同じ)を用います。狩衣の下に単(ひとえ)を着用します。
▽単(ひとえ)
紋様についてはここでは書ききれませんので割愛しますが、基本的に定めはありません。伝統的な紋様ももちろんありますが、写真の「笹竜胆紋」のように神社にゆかりの紋様を入れる場合もあります。
どちらかというと、笹竜胆紋のように模様に上下が定まっているものの方が作製が難しいそうです。(首の所を境に上下反転させて織らなければならないため)
尚、何も模様が無く真っ白なものを浄衣(じょうえ)といいます。慰霊祭や清祓・大祓式などに用いられます。
素材は様々で、従来は練絹のみでしたが、現在ではナイロン製のものも気軽に使えるとして重宝されています。(扱っているところは限られますが、クリーニングに出せるのです。絹製のものは洗い張りになります)
夏物・冬物の区別があり、夏物は羅(ら=織りの目が大きく、少し通気性がある)の布が用いられます。当社では、立夏・立冬にそれぞれ衣替えを行っています。
現在では、このような和裁が出来る方や洗い張りが出来る業者が年々少なくなってきているそうです。
神道に於ける装束の伝統守るためにも、皆様に少しでも身近に感じて頂ければ幸いです。