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神社新報コラム「社に想う~暦のはなし~」

投稿日:2018年5月11日(金)


数日ぶりの晴天。太陽の光を浴びると元気になれますね。出仕の佐藤です。

平成29年11月13日の「神社新報」に掲載された「暦のはなし」(著:須浪伴人)を取り上げます。

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「今年もはや霜月となり、残り二ヵ月足らずとなった。若い頃は「早く夏休みにならないか、早く正月にならないか」と思ってゐたが、そんな自分が「光陰矢の如し」を実感する歳になったとは。

それはさておきこの十一月、英語では「November」と言ふのはご承知の通りだが、九月(September)以降がそれ以前とは異なる規則で名前が付けられてゐるやうに感じたことはないだらうか。例えば九月以降はすべて「ber」で終はってゐる。調べてみたところ、ことはローマ暦にまで遡るようだ。

古代ローマでは一年が十ヵ月と残りの約六十日で構成されてゐたらしい。そのなかで現在の九月は七(Septem)の月とされ、後は順番に九(Novem)の月、十(Decem)の月と定められてゐた。十番目の月が終はるとしばらく日付のない日が続き、春めいてきた頃に王が新年を宣言する。大雑把なところが何とも言へない。

ローマ暦はたびたび改変され、やがてそれまで一年最初の月とされてゐたものが三月と変更された。にも拘わらず名称はそのままにされたため、七の月(September)は現在の九月とズレてしまった。その後、共和制ローマ及び帝政ローマで使はれるやうになるユリウス暦が定められる。ここにきて七月はかのユリウス・カエサルに因んで「Julius」、八月はローマ帝国初代皇帝アウグストゥスから「Augustus」とそれぞれ変更された。現代の英語で「July」や「August」と表されるのも、この時代に定められたものをそのまま受け継いでゐるからだ。

アウグストゥス以降も歴代皇帝が自らの名前を月に付けようとしたらしい。コモンドゥスなる皇帝に至っては十二ヶ月全ての名称を変更したやうだ。幸いにも最終的に残ったのは七月と八月の二つだけとなったが。

現代でも農家が旧暦を用ゐて作業日程を立てるなど、わが国に限らず暦は生活に密着した重要な位置にある。古代ローマで「日付のない日」の存在が許されたのは、それが農作業に影響のない冬の期間であったからで、大雑把とはいへ、里に適ってゐる。

名前が変はるといえば先日の選挙でもラベルを張り替えて出馬した先生方がいらっしゃったが、これもまた暦と同様、国民の間には定着しなかったやうだ。ちなみに全ての月名を変えたコモンドゥスは、自身も幾度となく名を変へてゐる。決して暴君ではなかったが彼はしかし、最後は暗殺された。余計なことだが深読みしたくなる。

ちなみにカエサルとアウグストゥスが自分たちの名前を付けた月を無理やり割り込ませたから七月以降がズレたといふのは俗説らしい。これもまた彼らが絶大な権力を振るったがゆゑのことだろう。名誉の為に紹介しておく。」

 


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