投稿日:2021年6月11日(金)
陽ざしが強くなり、外で作業する際に麦わら帽子にタオルと完全防備をするようになりました。梅雨はもう開けてしまったのかと思うくらいの晴天が続きますね。権禰宜の佐藤です。
さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』掲載のコラム『刀剣は語る』よりシリーズでお送りしています「真柄の大太刀」を御紹介致します。


【刀剣は語る その11 ~真柄の大太刀~】
この大きな刀は、実際に使はれたのだらうか、愛知・熱田神宮宝物館の入口に展示された大太刀「次郎太刀」。その全長は約二百四十五センチ。北国の豪傑と知られた真柄十郎が所持したと伝はります。
刀剣は戦闘形式の変化によって時代とともにその姿を変へました。新たな武士階級による誇張主義が生まれた南北朝期には、長大なものが主となり、三尺(約九十センチ)を超える大太刀が登場。長大な刀は、軽量化を図り、刀身にそって深い溝を彫るなどの工夫がなされました。次郎太刀の刀身に朱く色づけされた部分がそれにあたります。
「真柄の大太刀」は次郎太刀ともう一振り、「太郎太刀」もあります。元亀元年(1570)、近江国(滋賀県)でおこなはれた織田・徳川連合軍と浅井・朝倉連合軍による姉川の合戦。その合戦図屏風には、大太刀を振るふ真柄十郎左衛門の姿が描かれてゐました。十郎左衛門は大太刀の長い柄を両手で持ち、振り上げてゐます。こちらが全長約三百三センチにもなる太郎太刀でせう。その気迫、大太刀はとのやうな剛の者にこそふさはしいと感じ入りました。
大太刀を振るふがゆゑ真柄は標的にされ、一人で多勢と渡り合ひ、討死に。真柄の大太刀は勝者のもとに移りますが、戦闘に使はれることなく、次郎太刀は姉川の合戦の年に、太郎太刀は六年後、山田吉久といふ武人から熱田神宮に奉納されました。
「おそらく七回忌といふ弔ひもあったのでせう」とは、同神宮文化研究員の福井款彦さん。「真柄の剛毅な最期を讃へての奉納と考へられます」。
同館では、これまで異彩のものとされてきた大太刀にスポットをあてた、大太刀展を開催。その際には、岡山・吉備津神社の長船法光など全国から大太刀を集めました。持ち主の怪力のあかしでもある大太刀が結集した展示会。その迫力たるや稀有なものであったのでせう。
熱田神宮に奉納された真柄の大太刀は江戸時代、外装(拵)を整へられ、祭礼行事に使はれました。草薙神剣が還座された故事による、神輿渡御神事の行列に鉾などとともに掲げられたのです。
実際に戦闘で使はれた刀剣が、神事に用ゐられる、そこに抵抗はなかったのでせうか。
「刀身は研ぐことで禊祓と同じやうに清らかとなる。神事を護る太刀として平和利用されたのでせう」。刀身を研ぐことが神道における禊や祓に通ずるといふ考への一つです。
そして神域には、今秋開館予定の刀剣専門展示館「剣の宝庫草薙館」が建設中です。そこでは、太郎太刀・次郎太刀のそろひ踏みが拝見できるかもしれません。
大太刀は武器として尋常ならぬ破壊力だけでなく、それを扱ふ武者の器の大きさをも伝へてゐました。
熱田神宮
祭神…熱田大神
鎮座地…愛知県名古屋市熱田区神宮1-1-1
☎ 052-671-4151(熱田神宮宮庁)
文化殿(宝物館)
☎…052-671-0852
拝観時間…午前9時~午後4時30分(入館は4時10分まで)
休館日…毎月最終水曜日とその翌日
















