投稿日:2016年10月17日(月)
秋らしい雨。空気もひんやりです。権禰宜の遠藤です。
さて、産経新聞の平成28年10月16日(日)付朝刊二面に昨日のブログの記事の関連記事が掲載されていましたので、ご紹介致します。
「【産経新聞 平成28年10月16日付朝刊2面】
<6年前強いご決意 天皇陛下「健康上の問題が起きる前に譲位を考えたい」>
天皇陛下が強い意向を示されている「生前退位」の実現の是非を最大の論点に、政府の有識者会議の初会合が17日に開かれる。宮内庁関係者によると、8月のお気持ち表明より6年前、陛下は皇后さまをはじめとする身近な関係者に向かい、すでに退位への決意を打ち明けられていた。
平成22年7月22日夜。皇室に関する重要事項などについて、陛下の相談役を務める当時の宮内庁参与3人が皇居・御所の応接室に集められた。いわゆる参与会議といわれる場だ。天皇、皇后両陛下のほか、宮内庁の事務方のトップの長官、側近トップの侍従長も顔をそろえていた。
会議関係者によると、いつもの通り「座長役」を務めた陛下がおもむろにこう切り出された。
「近い将来、健康上の問題が起きる前に『譲位』ということを考えたい」
8月のお気持ち表明当日、当時の風岡典行長官は「5,6年前から折に触れ、長官らに『象徴としての務めを果たすことが困難になった場合、象徴の務めについてどのように考えればいいのか』と話されてきた」と説明していた。
風岡氏は「当初は漠然としたお話だった」と述べていたが、会議の様子を知る関係者は「『譲位』という言葉で明確におっしゃった。すでに熟慮を重ね、意思を固めておられる印象だった」と振り返る。出席者は一様に、皇室典範で規定され、大正天皇の前例もある「摂政」で対応されるよう翻意を促したが、陛下は「摂政では駄目なんだ」と強い口調で否定された。いつになく活発に意見が交わされ、「公務を減らして在位されてもいいのでは」との対案も出たが、陛下は最後まで譲られなかった。
陛下にとって「天皇の地位と活動は一体不離」(宮内庁幹部)。会議関係者も「公務の負担軽減を念頭に置かれていない。ましてや摂政で代行できるものではないという強い信念をお持ちだ」と感じたという。
会議の後、次第に宮内庁の一部幹部の間にも「譲位を問題意識として持ってもらいたい」とのお考えが伝えられ、水面下で歴代天皇の生前退位の例や欧州の王室制度などについて調査が進められたという。
宮内庁側は昨年、お気持ちご表明にふさわしい時期を迎えたとして、12月の陛下のお誕生日会見を具体案として検討。最終的には、フィリピンでの戦没者慰霊などを終え、今年の8月のご表明に落ち着いた。
関係者は「陛下は、将来的な皇室制度の課題を誰よりも考えてこられた。お気持ち表明で、国民的な議論のきっかけが作られた。有識者会議には国民の自由な議論を喚起する提言を望みたい」と話した。」