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『庁報かながわ』より「御祭神と準絶滅危惧種」

投稿日:2024年2月28日(水)


ここ最近、読み進めている本は自己啓発ばかり。久しぶりに小説を読んで感性を磨きたい出仕の宇多です。

さて、神奈川県神社庁から、県内各神社に向けて発行されております業界誌『庁報かながわ』より、「神社活動採録」をご紹介します。

Enjoyかながわ

【神社活動採録】「御祭神と準絶滅危惧種」曽屋神社 宮司 守山文夫

当神社は、水の神「水波能売命」を主祭神としてお祀りしてゐる。

「曾屋」の由来には「洲谷」とする説や、平安期に曾屋村内の「乳牛地区」で行はれてゐた「蘇」造りに由来し、神社湧水と「乳牛湧水」を用ゐていたとされ、現在も「水神町」として名を留め、「蘇」と同様に乳製品(往時は医薬品)製造の名残として「醍醐道」や「養老院跡」がある。

『新編相模国風土記稿』に因れば、古くは「井之明神」「井大明神」と称し、「老杉」の元から湧清水の湧水口にあった自然石を「御神体」としてお祀りしてゐた。明治十二年、当地も「コレラ」が流行し、氏子の梶山良助翁を中心に、「秦野焼(尚古園)」を興し、陶工「三浦乾也(仙台藩では帆船・開成丸を造船)」を招き、明治二十三年、横浜、函館に次いで、常滑焼による「簡易陶管」が敷設され、神社湧水を配水する近代水道「曾屋水道」給水を開始した。

「氏子有志による民間事業の技術指導は受けた)」往時のイ号、ロ号、ハ号水源」を含む配水施設が、「国登録記念物」に指定されてゐる。

平成十六年、予てからの湧水復活を受け、境内イ号水源付近の湧水マスを発見、復活させ「井之明神社」を奉斎。平成二十七年より、禰宜の知人達が「神社湧水、天日塩、丸大豆だけの醤油造り」を、長野県在住の搾り師「岩崎洋三氏」の指導のもと、醸造後、昔ながらに「搾り槽(フネ)」を用ゐて行ってをり、当神社でも参画。「SoyaSaouce(醤油の英国表記と神社名を掛け)」と名付け、今年で八年目を迎へる。令和五年「夏越大祓」を控へ、恒例の、醤油造りの有志による水場清掃を実施した処、予てより懸念してゐた「水路の赤い斑点」の出現。

またしても、清掃翌日には顕著となり、二十年近くを経て、愈々調査すべく、県庁関係部署に辿り着き、計らいのもと、日本藻類研究センター長・福嶋悟先生をご紹介頂いた処、「タンスイベニマダラ」と判明した。

淡水の紅藻類であり、水質、水温、「適度な木漏れ日」が生息条件となる。県下でも「準絶滅危惧種」に指定されてをり、発見報告例は少ない。

タンスイベニマダラと共に、更に「マガリケイソウ、コバンケイソウ」等、同時にみつかり、福嶋先生曰く「皇居にも生育する珍しい藻類で、それを育む湧き水が、地域の方々との結びつきによる繁栄のお役に立つことを祈念する」との評価を戴いた。

氏子の人々の生活の要であった「井之明神の水」、絶えつつある「生物」を育む「御祭神恵みの真清水」を、この先も、氏子の方々と共に、有難くお守りして行きたいものだ。


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
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