投稿日:2022年8月14日(日)
昨晩の台風は幸い境内にたいした被害なく通過したようで一安心ですが、台風一過ということで暑い一日になりそうです。体調に気を付けて奉仕して参りたいと思います、権禰宜の牧野です。
さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』令和4年8月15日号掲載のコラム「神宮だより」をご紹介致します。
【神宮だより~川の流れのやうに】
「神社と川の関係は重要で、多くの神社が川の近くに鎮座してゐます。世界に目を向けても発達した文明の近くには川があります。川の恵みにより農業や産業が発展し、社会全体に豊かな恵みを与へてくださるからです。
皇大神宮の神域には神路山を源流とする五十鈴川が流れてをり、豊受大神宮の傍を流れる宮川とともに伊勢の地域を発展させてきました。絶え間なく大海へ注ぐ川の流れには心身を清浄にする働きもあります。
人は生来明浄な心を持ってゐます。普段の生活の中で知らぬ間に罪や過ちを犯し、穢れてしまふこともありますが、祓ひ清めることにより本来の姿に戻ると神道では考へられてゐるのです。
祓ひの方法には麻や形代に託すことによりお祓ひをする方法と、禊により心身を清める方法に大分され、参拝の際におこなふ手水は禊にあたります。内宮の手水舎奥の御手洗場では四季折々の様相をみせる五十鈴川の川面で手水をしていただくことも出来ます。また神宮の大祓は前者にあたり、罪穢れは大麻による祓ひの後、榊に移され五十鈴川に流されることにより消えて行きます。
祭典では身を清らかに御奉仕することが最も大切です。とくに神嘗祭をはじめ、六月・十二月月次祭、神御衣祭、新嘗祭、祈年祭の前月晦日には祭典附属の大祓がおこなはれ、何らかの事情により参列できなかった場合は、祭典に御奉仕することは叶ひません。また、祭典では前夜からの潔斎・参籠をはじめ、当日は祓所にて神饌や幣帛、御奉仕する神職を修祓により祓ひ清め、祓ひを重ねることにより社殿に近づく頃には心身ともに清らかな理想の状態となります。。
川がもたらす恵みに思ひをめぐらせ、今日も五十鈴川のせせらぎのやうに心穏やかに御奉仕に励んでまゐりたいと存じます。」