投稿日:2011年4月14日(木)
【ふるさと】を取り戻すには? 現在、様々な人々が復興に向けた街づくりを計画しているそうです。山を切り崩して高い所に住居を移すとか、被害を受けた地域の地盤を高くするなど…皆さんならどこから・何から復興しますか?
◎井上政典 【ふるさとを復興するために】
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日曜日のグラミンラボのイベントの際に感じたことその2。
復興の際に必要なことは何かを言われると、ハイチ地震の復興支援経験者はコミュニティーだと応えました。25世帯をひとつのコミュニティーにしてそのまま復興しなければそこを復興したことにならないとまで言われました。
日本も各地で善意から移住計画を東北地方の住民に持ちかけていますが、評判はあまり芳しくないようです。ほとんどの住民の皆さんがその場を離れたがらないのです。
知人のお母さんは、息子夫婦が福岡に住んでいるためこちらに来るように何度も説得をしましたが、どうしてもその土地を離れようとしません。こちらに来れば、地震も津波も何も心配なくなるのですが、生まれて育った土地を離れることはできないと頑として受け入れてくれないそうです。
津波ですべてをなくした老人が何年かかろうともここを元に戻すんだと力強く言った言葉が印象的です。この東北地方は土地に対して日本でも一番といっていいほど愛着を持つ人々ではないでしょうか。
冬の寒さをその地域の人々の暖かさで耐え、何があっても周りにいる人々の笑顔によって支えられる土地。それは何十年も住み続けなければでてこないふるさとの味だと思います。
大学の地質学の教授が復興するためのグランドデザインを一所懸命に考えておられます。それはとても機能的で省エネで防災力に優れた町です。でも、そこには何か足りません。それは何かと話を聞きながら一所懸命に考えていました。英語でのスピーチを聞きながらですから大変です。
そしてふと気付きました。そうだ神社だ!と
もともと日本各地には神社を中心とした町があり、そこにお寺や地蔵さんが縦横無尽に存在するとても霊的なつながりで繋がっていた国でした。でも大都市ではそれが人口の流入によって希薄になり、人と人との関係も少なくなっています。その関係こそが「霊的な関係」です。それは、ご先祖様から連綿と続く両家のつながりを大切にする関係です。
復興にはその地域にあった神社を中心として社会を再現するのが一番いいと思うようになりました。目には見えないつながりを大切にすることを忘れては、安全な町になってもすみ続けたい町にはならないと思います。
阪神淡路大震災でもその後にたくさんの老人の方々が孤独死をされました。これが本当の「人はパンによって生きるにあらず」の意味ではないでしょうか。パン、つまり目に見えるもの、だけではなく、目に見えない誇りやつながりがあってはじめて人間は生きることを実感するのではないでしょうか。
早速阪神淡路大震災にご自身もあい、復興のボランティアを組織した経験のある星野教授にこのお話をしました。すると、自分も小さいころ八幡様の境内で遊んでいた経験やお祭りの経験があるおっしゃいました。それを中心にすることはとても大事だとおっしゃっていただけました。先生も今までのコミュニティーを中心にして復興を支援するのだそうです。
元来コミュニティーの強いところは、夏祭りとかお神輿だとかを町内みんなで担ぐのです。そうすると思い出しました、復興のためにまずは村の中心の神社やお寺をお金持ちがお金を出して再建していた歴史を。そこで働き賃金を得た人々がそのお金で自分の家を直していくのです。つまり精神的な支柱をみんなで復活させてることにより、その働きで得たお金を自分たちの町の復興に使うのです。
穂むらの火で有名な濱口梧陵は津波によって壊滅させられた町を防ぐ堤防の建設で町民に生きる希望と生活の糧を与えました。
もうお金を上げるときはだんだん終わりに近づいています。いまからは現地の人々の雇用を産み出す様な活動に切り替えていくことが大切ではないでしょうか。
そのために私たちができること、まずは東北の物品を買うことです。東北のおいしいお酒が被災せずに出荷されています。それを買っておいしくいただくことです。野菜や魚とかは福岡では遠すぎるのですが、お酒や焼酎であれば福岡でも買えます。
それから、花屋さんは花屋さんを支援するのです。家具屋さんは家具屋の復興を支援するのです。組合や協会が中心となって現地の同業者を支援することにより、お互いにすばらしい未来ができるのではないでしょうか。
長年お花屋をやっている方は、業務知識もノウハウも顧客もいるが、店も商品もない。そこに西日本の元気なお花屋さんの協会が商品と資金を投資するのです。そのお金によって生まれでた価値が地元の雇用を生み出し、経済の基本である「回る」仕組みを作り上げていくのです。
少しの資本や商品があれば、商売をまた始めたい人がたくさんいます。昔からのお得意さんにぜひ連絡を取ってみてください。きっと喜ばれると思いませんか。