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【神社新報コラム】神宮だより~工芸 衣裳人形「伊勢の小工」重要無形文化財保持者 秋山信子~
投稿日:2020年3月6日(金)
春の気配が色濃くなり、境内にも花々の彩りが増えてきました。その中で本日は椿の様子を…境内には三か所椿が植わっているのですが皆さん見つけたことはありますでしょうか?ツバキの「椿」は、日本でつくった国字で、春に花が咲くことを表しているそう…。権禰宜の佐藤です。
さて、神社界唯一の業界紙である『神社新報』令和元年12月16・23日号掲載のコラム「神宮だより」を御紹介致します。
【神宮だより~工芸 衣裳人形「伊勢の小工」重要無形文化財保持者 秋山信子~】
「神宮美術館では令和2年2月18日まで特集展示「祈り」と題して、収蔵作品の中から祈りの心・崇敬の想ひが感じ取れる美術作品を展示公開してゐます。今回はその中から工芸一点を御紹介します。
本作品は、神宮遷宮諸祭に奉仕する小工(宮大工)を摸した人形です。頭には烏帽子、肩には掛明衣をかけた素襖姿の小工が手に木槌を持って静座してゐます。装束の胸や両袖には、神宮式年造営庁の道の紋が白く染め抜かれてゐます。-神宮式年遷宮は20年に一度宮地を改め、古例のままに社殿や御装束神宝を新しくして、新宮へお遷りいただく神宮最大の重儀。大御神への永遠の祈りがこめられてゐます。
本作品の表情は柔和ですが、木槌を持つ両手には力が籠もり、重儀を執りおこなふ大役に身が引き締まる思ひが伝はって来るやうです。作者は昭和3年大阪市に生まれ、31年人形作家の大林蘇乃に師事。その他日本画家や彫刻家、漆芸家にも学んでゐます。35年日本伝統工芸展に《潮騒》で初入選し、奨励賞を受賞。38年日本工芸会正会員となり、平成2年には紫綬褒章を受章。8年に重要無形文化財「衣裳人形」保持者に認定され、10年勲四等宝冠章を受章。現在日本工芸会参与です。
琉球、アイヌ、朝鮮半島などさまざまな地域の民族衣装を身につけた人形を数多く制作。その民族の歴史や伝統文化を学び、衣装を身にまとふ人の想ひを人形で表現してるます。高29.0㎝、坐像、平成9年奉納〉(文化部・中村潔)」