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【神社新報コラム】こもれび~思ひだすままに~

投稿日:2024年2月29日(木)


本日は4年に1度の2月29日、なんだか得したような気がしますね…権禰宜の牧野です。

さて、神社界唯一の業界紙であります『神社新報』令和6年2月26日号掲載のコラム『こもれび~思ひだすままに~』をご紹介致します。

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【こもれび~思ひだすままに~】

「学生時代のこと、大学の集中講義に「仏教概論」といふ科目があり、レポート作成にあたって高神覚昇といふ方の『般若心経講義』 を購入しました。この本のなかに、清朝末期の考証学者・兪曲園の『顔面問答』といふ随筆が紹介されてゐます。 「眼」「鼻」 「口」の上に位置する眉毛に対して不満を抱き、存在価値を疑って詰め寄るといふ設定です。 眉毛は答へます。 「眼・鼻・口さんの役目には感謝してゐる。自分は、ただかうして先祖代々守ってゐるだけで、お恥づかしいわけだが、なんと答へてよいやらわからない」 と。兪曲園は続けて「今日まで口と鼻と眼の心懸けで暮らしてきたが、これからは眉毛の心懸けで世を渡りたい」 旨で結んでゐます。この説話には、存在価値といふ物差しに囚はれることなく、 あるがままに生かされて生きることを自覚する、心がけの大切さが示されてゐるやうに思へます。

さて、父祖代々奉仕の杜にて 『闘戦経-中野清先生遺作集-』に倣ひ、唯々神前近くに候して三十年余り。「手水を使い、拝み、手を拍つ。 そのやさしい仕草だけで満ち足り、その仕きたりの源も神さびて古い。この道の古くからの立前として、むつかしい唱えごとは要らない。難行苦行もない。学問の知恵を研ぎ澄まして探ってもその深さに至りがたく、その高さに及びがたくその広さに呆れましょう。 また字を知らない人々でも、たやすく恵に浴し、幸を手にすることが出来る」と。気負ふことなく、さらりと言ってのけられた先生の境地には、とてもまだ至れさうにありません。

また、ある先生には、何かの酒宴の末席に待った折、柔和な眼差しで微笑みながら「君は未だ若いな。ことさらに大義名分を説く連中は眉唾者だよ」と、御教導いただいたことがありました。時として、所謂大言壮語の士から距離を置くやうになったのは、それからのことです。ときに「年々歳々花相似たり、年々歳々人同じからず」 一昨年の五月から担当させていただきました「こもれび」の欄も、今回で畢はりを迎へました。 八回に亙り御覧いただき、ありがたう ございました。折しも「一片の開花、一片の春」柔らかな春の光に誘はれて、浅き春を訪ねてみたいと思ひます。 この記事がお手元に届く頃には、愈々春の気配も漂 ひ始めてゐることでせう。「いづれ春永に」

さし・まさあきら 宮崎・潮嶽神社 宮司」


白旗神社ホームページへようこそ。当社は古くから藤沢の地に鎮座する古社で、相模國一之宮寒川神社で有名な寒川比古命と歴史上のヒーロー・源義経公をお祀りしています。寒川比古命は厄除け・方位除けの神様として知られます。また武芸、芸能、学問に優れ、才気あふれる源義経公は、学業成就、社運隆昌などのご神徳があります。境内には、悠久の歴史を感じる史跡が多く、四季を感じられる緑豊かな自然もあります。
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